宮西尚生 新庄監督の特命で臨時コーチ 伊藤の次回を見据えた絶妙継投で完封リレー
〝臨時コーチ〟でCS1戦目の継投を任された宮西
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第1戦 オリックス0-2日本ハム(10月11日、エスコンフィールド北海道)
レジェンド左腕が見せた勝負勘
日本ハムの宮西尚生投手(40)が〝臨時コーチ〟を務め、継投を担当した。
CSのベンチ入りメンバーに入ってなかったベテラン左腕は、先発の伊藤大海投手(28)から、田中正義投手(31)、斎藤友貴哉投手(30)につないで完封リレー成功。今季、900試合登板を達成したレジェンドリリーバーが、投球ではなく采配で勝利を呼び込んだ。
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意気に感じた指揮官の登用
百戦錬磨の経験が、違う形で生きた。新庄監督ならではの異例の抜てき。9月26日の西武戦(ベルーナ)で1度、継投を任されていた。その時点で「CS1戦目、頼むな」と、勝敗に関わる重要な任務を託されていた。
本職は投げること。「本当は選手としてマウンドに立ちたい思いはある。でもそこは結果の世界」と、わきまえている。ただ、新庄監督の計らい、気遣いがありがたかった。「(1軍に)帯同させてもらって、チーム一丸だよと、自分は捉えている。次のステージとか、そういうことも考えて(任せてくれた)、ということもあるやろうし。ボスじゃないと絶対にできない経験やと思う。イチ選手がこの大事な継投を任されるって。でもそれもボスらしい。抹消中でもチーム一丸という形で、仕事、ミッションを与えてくれた。割り切って、継投に全力を注いでいました」
CS前の練習でチームメートと話す宮西(左から2人目)
試合前、リリーフ陣に放った言葉
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マウンドに立てない悔しさは、いったん胸にしまった。頭をフル回転させ、勝利の道すじを探った。
試合前練習では中継ぎ陣の前で「CSはレギュラーシーズンと違って負けたら終わってしまう。ホームランはオッケーなのか、フォアボールはオッケーなのか。そういうメリハリだけ考えて、あとは思い切って攻めよう」と声をかけていた。
先を見据えた巧みな采配
試合展開によってさまざまなパターンが考えられた。さらに、短期決戦ならではの複雑な事情も絡み合っていた。先発の伊藤を7回、115球で交代させたことにも、明確な意図があった。
「欲を言えば、大海は10球ぐらい少なく降ろしたかった」と本音を打ち明けてから、交代を決断するコーチの難しさに触れた。「先発を代えるタイミングですね。シーズンやったら大まかにいけるけど、大海は勝ち上がった場合、中6日では回らないと想像していたから。中5日なのか中4日なのか、僕は分からないですけど、次の大事なところに向かうということも考えて。気持ちが入っているから、球数は140でも150でも投げていたと思うけど、次の登板も大事。日本シリーズに行くまでに、ということも計算に入れないといけなかった」

後輩たちをたたえ「言うことないですよ」
苦楽を共にしてきた仲間の特徴、性格は熟知していた。また18年間、リリーフ専門で生きてきた分、引き出しは豊富だ。継投ズバリの結果にも宮西は「正義と友貴哉と大海。完璧に完封で抑えてくれたので、言うことないですよ」と後輩たちを称賛した。
いつもとは少し違った喜びを、静かにかみしめていた。