宮西尚生が内容充実の復帰登板で新球カットに好感触 新幹線で大ピンチを救ってくれた後輩は―
七回を無失点に抑えてガッツポーズの宮西=撮影・松本奈央
■パ・リーグ22回戦 日本ハム0-2オリックス(9月5日、京セラドーム大阪)
七回に救援してパーフェクト投
日本ハムの宮西尚生投手(40)が5日、京セラドーム大阪で行われたオリックス戦の七回に救援し、2三振を奪って3者凡退に仕留めた。2軍調整を経て4日に1軍昇格したばかり。台風の影響で7時間以上の移動を強いられるアクシデントに見舞われたが、復帰登板でベテランの意地を見せつけた。
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七回、2番手で登板した宮西=撮影・井上浩明
2軍で習得した新球でいけた
7月27日以来の1軍マウンドだったが、空白を感じさせない。直球、チェンジアップに加えて、2軍で習得したカットを効果的に使い、厳しいコースを徹底して攻めた。2点ビハインドでこれ以上の失点は許されない場面。広岡、太田を三振で斬るなど、1番からの攻撃を完璧に封じ「スライダーを変えて、新しい球種でいけた。(習得に費やす期間が)1カ月しかなかった中で、1軍でこうやって結果が出たというのは、安心材料かなとは思います」と成果を受け止めていた。
伝家の宝刀・スライダーを封印「…けど、上出来じゃないかな」
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入団以来、プロで戦うための武器がスライダーだったが、過去の実績や記憶に依存しない。ためらわず、改良を決断した。柔軟な思考と大胆な行動で活路を開き「スライダーをきょうは放っていない。(スライダーに見えたのは)全部、カット系。人のカットとはまた違うから、特殊な感じではあるけど、上出来じゃないかなと思う」と涼しい顔で言ってのけた。

若手時代は気にならなかった痛みも
今年6月に誕生日を迎え、節目の40歳になった。疲れは簡単に抜けなくなった。遠征先でもサウナを探して、疲労回復に努める。また、若手時代は気にならなかった張りや痛みとも戦っている。「腰というか背骨沿い。骨が動きづらい。骨に筋肉が癒着するというか。それがここ数年、ずっとあって。今も毎朝、自宅で電気を当ててから球場に行く」。蓄積されたダメージは少なからず、ある。それでも自らに合う治療法を丹念に調べ、試しながらマウンドに上がる。
閉ざされた車中で後輩の優しさ感謝
この日は、予期できない試練にぶつかった。通常なら乗車2時間半の東京―新大阪間の新幹線が大幅遅延。車内で7時間を過ごすことになった。体の負担は大きく、精神的にもストレスがかかった。そんなピンチを救ってくれたのは意外なチームメートだったという。「何をしていたかと聞かれても寝たり…。だって止まっているからね、ずっと。何もできない、動けないし。唯一、救ってくれたのは(斎藤)友貴哉が水をくれて。あんなことになるとは思っていないから、何も飲み物を買っていなくて。『2本買ったから1本あげます』と分けてくれた。それが全てきょうのピッチングにつながりました、ありがとうございます!」

さあ次なるミッションへ
後輩の優しさに触れながら、復帰登板を最高の形でクリアした。次のミッションは、悲願を達成することだ。「(敗れたが)いい形まで追い詰められている。何か一つきっかけがあれば、またグッといけるやろうし。後がないですけど、目の前の1戦をしっかり戦っていけたら」。優勝を知る男の帰還が逆襲の原動力になる。
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