旭川実業が8点差を大逆転して全道へ 投内外こなす小池全が左右の打席で4安打【秋季旭川支部】
4安打を記録した旭川実業の小池=撮影・十島功
■秋季全道高校野球旭川支部(9月28日、旭川スタルヒン)
▽Aブロック代表決定戦 旭川志峯12-13旭川実業

夏の甲子園出場校・旭川志峯に勝利
旭川実業には、頼れるスーパーマルチプレーヤーがいる。背番号5を付ける小池全内野手(2年)が夏の甲子園出場校・旭川志峯との代表決定戦で「1番・投手」として先発マウンドに上がった。一回は2三振を奪う3者凡退の好スタートを見せたが、二回に先制点を許すと三回にも失点を重ねた。2回⅓4失点(自責2)で降板した小池は「初回は気持ちの部分を出して、ああいう形でゼロを並べられた。その後は気持ちが入りすぎて制球力に苦しんだので、次からはしっかりと気持ちの部分で熱くなりながらも、制球を定めてチームを勢いづけたい」。
「1番・投手」で先発した旭川実業の小池
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七回コールドもありえた大ピンチに
ここからが小池の真骨頂だった。マウンドを降りると、そのまま三塁へ。劣勢を打ち破るためのスイッチヒッターとして、頭を切り替えた。しかしチームは1-4の七回にさらに5失点を喫し、点を取らなければコールドゲームとなる8点差をつけられた。万事休すかと思われたが、小池は「ベンチ(の雰囲気)は落ちてなかった。自分がしっかり鼓舞する形で、やることをやり切って負けたならしょうがないと割り切っていた」。四球を挟みながらの連打で1点を返すと、なおも無死満塁で打順が小池に巡ってきた。
坂口監督も驚がく「完全に負け試合だった…」
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左打席からきっちりと右前適時打でつなぐと、打線は面白いように巡っていく。打者13人の猛攻で一挙9得点。コールド負けも見えていた状況から、差を縮めるどころか試合をひっくり返した。これには坂口新(あらた)監督(41)も目を丸くした。「こんな試合ができるんだと。完全に負け試合だったので。面白かったです」。その後、九回に3点リードを追いつかれたが、直後の攻撃で天池脩人外野手(1年)がサヨナラ打で振り切り、両チーム合わせて37安打という乱打戦を制した。切り込み隊長として、打線を引っ張った小池は右打席で2安打、左打席で2安打と計4安打の固め打ち。「きょう、朝5時からしっかりと振り込んできたので、ああいう風につなげられたのは大きな成果かなと考えてます」。
七回、9得点の猛攻で8点ビハインドをひっくり返した旭川実業
全てのことに全うできる子
旭川支部では全3試合に登板した小池は、内外野もこなせるユーティリティーぶり。グラブは外野用2つ、内野用2つ、投手用2つを持ち合わせる。中学時代には捕手の経験もあり「できないポジションは基本的にないです」とキッパリ。高校入学後は練習試合も含めて捕手、一塁、二塁はまだ守っていないが、緊急時にはいつでも行ける心構えはある。投手としては最速143キロを誇り、打撃は両打ち。「全」という名前には「全てのことに全うできる子になってほしい」という願いが込められており、まさに、その願いを体現するプレーぶりだ。
劇的勝利で3年連続21度目の秋全道を決めた。「全道ではチーム自体も硬くなると思う。自分は前の代から出ていた経験もあるので、周りをどんどん巻き込む力をつけて、立ち向かっていきたい」。小池の〝全〟力が、猛者の集う舞台では必要となる。
八回無死、左翼へ二塁打を放つ旭川実業の小池
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