札幌日大高の148キロ右腕・窪田洋祐がプロ志望届を提出 5月に他界した恩人にドラフトで恩返しを
プロ志望届を提出した札幌日大高の窪田=撮影・西川薫
南大会後も複数のスカウトが視察
今春に侍ジャパンU-18高校日本代表候補に選ばれた札幌日大高の148キロエース右腕・窪田洋祐(3年)が27日付で、プロ志望届を提出した。2連覇を狙った南北海道大会は準優勝に終わったが、大会後も複数のスカウトが熱心に練習を視察に訪れている。今秋のドラフト会議で指名されれば、同校からは元日本ハムの片岡奨人(27)以来、6年ぶり4人目。地元・由仁町からは初のプロ野球選手誕生となる。
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投打で高評価も二刀流こだわりなく
この夏、エスコンで投げた高校生の中で最速の148キロをマークした右腕が、真っすぐプロに向かう。「プロに行きたいっていう目標がある中で、ひとつステップというか、ここまで来れたっていうのは素直に嬉しいというか、いよいよだなと」。投手と打者、両方で評価が高いが、「二刀流で絶対行きたいってわけではなく、どっちか評価していただける方で行けるなら、それがありがたいですし、二刀流で評価していただけるなら、それでも挑戦したい」と、こだわりはない。
今夏の南北海道大会決勝で先発した窪田
現在は体づくりと投打の改良に重点
何があってもブレることはなかった。高校入学時、森本琢朗監督(44)から「プロに行ける素質がある。あとはもうお前がどう取り組むか」と言われ、「1年生からずっとプロでやりたいと思ってやってきた」。1年秋にベンチ入りすると、昨夏は2年生ながら「4番・中堅」で夏の甲子園初出場をけん引した。野球部引退後の現在は「プロに入ったときに食らいついていけるように」と、体づくりに重点を置いた。同時に完成度が低かったフォークに磨きをかけ、打撃フォームも改良中だ。
父は由仁町の人気焼肉店3代目店主 恵まれなかった環境の中で…
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人口約4500人の街の期待を背負っている。実家は町内で創業64年目の人気焼肉店・東京ホルモン。野球好きだった3代目の父・裕司さん(53)に幼少期の誕生日にグラブとバットを買ってもらうと、店の駐車場の壁相手に毎日のようにボールを投げ続けた。由仁小に上がると、由仁ファイターズに入団。人数不足で4年時は1年間、試合ができない時期もあった。由仁中に進学しても3学年で12、3人しか部員がおらず、3年生の最後の大会は連合チームでプレーするなど決して恵まれた環境ではなかった。
野手としての評価も高い窪田
一番最初に報告したかった人が逝去
プロ入りして恩返ししたい人がいる。由仁ファイターズを資金的に支え、窪田の高校進学のきっかけにもなった伊部憲幸さんが今年5月に75歳で亡くなった。昨夏、甲子園初出場を果たすと、あいさつにも行った。「伊部先生は一番最初に報告したいなと思っていた方。あと家族、親戚とか、中学校とか小学校で指導していただいた先生方とか、挙げればキリがないけど、自分のことを引き上げてくれた方たちがいるので、そういう方に恩返しができれば」と力を込めた。
どんなに田舎からでもプロになれる
由仁町からプロ入りすれば初の快挙。「由仁からでもプロ野球選手が出れば、こんな田舎からでも(プロに)なれるんだって思ってくれる小学生とか中学生がいてくれるとしたら、それがすごく嬉しいなと最近すごい思います」。運命の日は10月23日。吉報を信じて、練習に励む。
今夏の南北海道大会は準優勝に終わった札幌日大高の窪田(背番1)
■プロフィール 窪田 洋祐(くぼた・ようすけ) 2007年7月31日、由仁町生まれ。由仁小1年時に由仁ファイターズで野球を始める。由仁中2年時にU14北海道選抜に選出。札幌日大高では1年秋にベンチ入り。2年夏の甲子園に「4番・中堅」で出場。今春、侍ジャパンU-18日本代表候補合宿に道内からただ一人選ばれた。185センチ、88キロ。最速は148キロ。変化球はスライダー、カーブ、フォーク。家族は両親と祖父母、4人のきょうだい。