堅守・北海がまさかの5失策 エース浅水6失点も自責は1【夏の甲子園】
試合終了後、スタンドの応援団にあいさつし、引き揚げる北海ナイン=撮影・桜田史宏
■全国高校野球選手権第7日(8月11日、兵庫・阪神甲子園球場)
▽1回戦 東海大熊本星翔10-7北海

新チーム結成後ワースト5失策
2年ぶり全国最多41度目出場の北海は、新チーム結成後ワーストの1試合5失策。ぬかるんだグラウンドにも苦しめられ、堅守の本領を発揮できずに敗れた。3点のビハインドを一度は追いついたが、五回途中から救援したエース浅水結翔投手(3年)が、七回に6失点。八回に長短4安打で3点を奪ったが、2年ぶりの1勝はならなかった。
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五回途中、3番手で登板した北海の浅水
北海野球のアイデンティティーの「堅守」が崩れた。1試合目の途中に激しい雨が降り、グラウンドコンデョションは最悪で、安打数は北海が上回ったが、相手の無失策に対して北海は5つ。平川敦監督(54)は「ミスですかね。そこに尽きると思います。四球と失策。それを防ぐことが、一番勝利には近い。初回もそうですし、七回もやっぱり四球と失策」と、冷静に振り返った。
勝利の方程式に狂いが出た。0-2の五回一死三塁2ボールで浅水が救援。「淡々と行って、こっちに流れを取り戻したかった」。犠飛で3点目を失ったが最少失点に抑え、六回は3者凡退。流れを一気に北海に引き寄せた。
「地方大会と緊張感とは全然違いました」
ところが七回、まさかの展開が待っていた。「地方大会と緊張感とは全然違いました」。当初は10日に合わせて万全の調整を進めていた。1日スライドして「昨日は調子良かったんですけど、その調子をキープできなかった」。六回の攻撃では内野安打で出塁するも、盗塁のサインに飛び出して二塁憤死。その直後七回、先頭打者に四球を与えると、投前の犠打を二塁に悪送球。無死一、二塁とピンチを広げ、長短4安打と二遊間の2つの失策で6失点。いつものように淡々と捕手のミットに集中したが、「いつもならそれで抑えられたところなんですけど、簡単にアウトを取らせてくれなかった」と、肩を落とした。
七回1死一、二塁、東海大熊本星翔・掘田に2点三塁打を打たれる北海の浅水(左)
鉄壁の二遊間に狂い「いつも通りのプレーができなかった」
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鉄壁の二遊間に狂いが生じた。昨春のセンバツにも出場した、吉井天星遊撃手(3年)が一回と七回にタイムリーエラー。「ミスが多くて、いつも通りのプレーができなかった」と、涙があふれて止まらなかった。ユニホームのズボンの右ポケットには、3月に膵臓がんで亡くなった母・園子さんから生前に「もっている男だと。野球だけではなく、これからの人生応援しています」と書いたメッセージをお守りに忍ばせ試合に臨んだ。
一回1死満塁、東海大熊本星翔・崎川の打球を悪送球し、追加点を与える北海の吉井
「今度は自分が支える側に」
名誉挽回と、10-4の八回に反撃の口火を切る適時打。「頑張ったら頑張った分だけ何かある。苦しい練習が多かったですし、昨年夏や秋は負けて、本当に苦しい冬があった。そこを乗り越えて頑張ったから、最後こういう舞台でヒットも打てました。いろんな方々に支えてきてもらって、ここまでこれた。今度は自分が支える側に回りたい。それが夢」。野球に別れを告げ、次の舞台へと進む。
八回2死一、二塁、北海の吉井が適時打を放つ
「乗り越えてきたからこそ今がある」
浅水は大学でも野球を続ける。去年のセンバツ甲子園ではベンチ入りも出番はなし。「このまま行ったら正直3年生でも(甲子園のマウンドに)立てないと思っていた。立てて良かったっていうか、立つために頑張ってきて良かったなと思います。楽しかった。苦しいことも乗り越えてこれた。乗り越えてきたからこそ今があると思っていて、自分の中では良い2年半だった」。最後の最後で、大舞台で躍動した。
この試合、先発した森健成投手(1年)と4人の2年生がスタメン出場。浅水は「後輩たちは絶対やってくれると思う。変に考えすぎずに、1、2年生のいつも通りのプレーをすれば絶対勝てると思う。焦らずいつも通りのプレーをやってほしい」。悲願の日本一は、後輩たちに託した。
試合終了後、ベンチに引き揚げる北海ナイン
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