旭川志峯のエース河合悠希は八回に〝恩師〟の前で力投 逆転負けも借りは後輩たちが返す【夏の甲子園】
五回終了後、旭川志峯の先発・大渕(右)を迎えるエース・河合=撮影・桜田史宏
■全国高校野球選手権第3日(8月7日、兵庫・阪神甲子園球場)
▽1回戦 旭川志峯1-3広陵(広島)
3年生3投手がリレーつないだが…
2023年春の校名変更後、初めての出場となった旭川志峯は、四回に5番・石田健心三塁手(3年)の中前打で先制したが、その裏に同点にされると、六回に犠飛で勝ち越され、七回にも犠飛で追加点を浴びた。先発した大渕蒼空投手(3年)が6回2失点(自責1)。2番手は宝泉玄投手(3年)、八回2死三塁では3番手としてエース河合悠希投手(3年)が登板。最初で最後の甲子園で、初めて3人のリレーをつないだ。
旭川志峯先発の大渕は6回を投げて2失点
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エースは北大会完投の疲労が抜けず
夏の甲子園本格2部制の元年。強豪相手に善戦も、32年ぶりの甲子園1勝は、またも持ち越しとなった。河合は北北海道大会決勝で184球完投の疲れが完全には抜けきってはいなかったが、自己最速にあと1キロに迫る142キロをマーク。「率直な感想としては楽しかった。結果は負けてしまったけど、最後までみんなで全力でやりきることができたので良かった」と、すっきりとした表情を浮かべた。
少年野球時代に投球を教えてくれたF栗山CBO 視察を伝え聞くと…
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旭川志峯の3枚看板。3人にしか分からない絆がある。「ライバル関係でありながら普段からずっと3人仲良し、3人で一つ。かたち的には3人で最後、試合をつくったので自分たちらしかったかな」。さらにスタンドに、少年野球時代に投球を教えてもらった日本ハムの栗山英樹CBO(64)が来ていたことを知らされると、「良いところを見せられたかな? うれしいです」と、頬を緩めた。
八回途中、3番手で登板した旭川志峯のエース・河合
オケムの弟子が長短2安打1打点
攻撃では「オケムの弟子」と公言する石田がチーム3安打中の2本を打った。今春卒業して西武入りしたOBのオケム外野手(19)からプレゼントされた打撃用グローブをつけ、二回の甲子園初打席で右中間を深々と破る三塁打。続く四回1死三塁の場面では、体勢を崩されながらも目いっぱいにバットを伸ばして中前にはじき返す先制打を放った。「先制したときは流れが来るかなと思った。投手も意地で投げていた。河合が思い切って投げられなかったのも悔しい。2人も頑張ってくれて感動した」。
四回1死三塁、旭川志峯の石田が先制の中前適時打を放つ
2年・億貞は目を腫らしながら猛省
スタメンには2年生が4人。なかでも1年目から出場するチーム一のヒットメーカー・億貞壮汰遊撃手(2年)は控室の隅で「3年生に1勝させることができなくて、僕も悔しい」と目を真っ赤に腫らした。自身は無安打に終わり「先制点が入って、そこでちょっと舞い上がる気持ちが高まって、それが1点を取った後に(追加点を)取れなかった原因」と猛省する。
出場した後輩たちがリベンジを誓う
この経験は必ず秋以降に生きてくる。敗れた先輩たちのためにも無駄にするわけにはいかない。それが残された者の責任だ。経験豊富な億貞が新チームでは主将の有力候補。「(2年生は)きょう4人が出ていたけど、この4人を中心に新チームが決まっていく。まずはセンバツに出られるように、残り期間は少ないけど、一人一人集中してやっていきたい」。甲子園の悔しさは甲子園でしか晴らせない。今度は自分たちが中心となって、チームを聖地に導く。
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試合終了後、応援団に挨拶する旭川志峯ナイン