右肩負傷で今夏初スタメンの佐藤瞭磨主将が躍動し北海は全国最多41度目の甲子園出場に王手【南北海道大会】
六回2死一塁、左翼越えに適時二塁打を放つ北海の佐藤主将=撮影・松本奈央
■全国高校野球選手権南北海道大会第5日(7月19日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 駒大苫小牧3-8北海
1番打者でスクイズ含む1安打2打点
手負いの主将が戦線復帰で難敵撃破―。「1番・左翼」で先発した北海の佐藤瞭磨主将(3年)が、二回のスクイズを含む1安打2打点。新チーム発足時から右肩亜脱臼に苦しめられながらもチームをまとめ上げ、夏の甲子園全国最多41度目の出場へ「M1」を灯した。20日の決勝戦では、夏の大会4戦全勝と好相性の札幌日大高と対戦する。
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5度目の右肩亜脱臼から復帰
ラストサマーにギリギリセーフだ。九回2死、最後の打者がレフトフライに倒れると、ウイニングボールをしっかりつかんだ佐藤主将は、喜ぶそぶりは一切見せず整列の輪に加わった。春の全道大会でダイビングキャッチを試みた際に5度目の右肩亜脱臼。今月12日の南大会1回戦・立命館慶祥戦で代打で復帰すると、出場機会のなかった13日の2回戦後も痛み止めの注射を打ち、この日も飲み薬の痛み止めを服用しながら出場。「チームの仲間が本当につないでくれた。なかなかコンディションも整わない中で、なんとか勝ってつないでくれたので、そこはチームの仲間に感謝したい」。試合後、緊張感から解放され、少しだけ笑みがこぼれた。
作戦通り第1打席で11球の粘り
頼れる主将の執念が、ナインにも波及した。ここまで公式戦の打順は2番や5番だったが、この日は初の1番。一回の第1打席では投ゴロに終わったが、フルカウントから粘って粘って11球を投げさせた。「初回に先制された中で、なんとか1点を返したいところだったので、1番の役割を考えながら打席に立っていました。相手の寺田投手もずっと1人で投げ抜いてきたので、結果的にファウルで粘って球数を稼げたのは良かった」。後続も早打ちはせず、2つの四球と2本の適時打で逆転に成功した。

ボディーブローのように
平川敦監督(54)は「1番の佐藤が11球、あれがやっぱり大きいんじゃないですかね。1イニング20球の5回で100球。そこは無理にしても、15から20球ぐらいは投げさせたいなとは思っていたので。ずっと1人で投げてますし。それが40球までいっちゃったんで」。この回だけで打者7人で、合計42球を投げさせ、その後も五回までに106球。ボディーブローのように、徐々にスタミナを奪っていった。
リードオフマンとして役割を全う エース浅水「ベンチにいる時の…」
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粘るだけではない。小技も長打力も発揮した。2-1で迎えた二回、先頭が出塁すると、犠打と暴投で1死三塁。ここで佐藤主将が投前にスクイズを成功させ、リードを2点に広げた。五回には先頭で四球を選び、相手の暴投で生還。六回には2死一塁からダメ押しの左越えの適時二塁打を放ち、5打席3出塁2打点とリードオフマンとしての役割を全うした。
主将はやっぱりグラウンドが似合う。3番手で登板したエース左腕・浅水結翔投手(3年)は「ベンチにいる時の安心感も、試合に出てる時の安心感もすごいある。自分的には出ててくれた方が、ここ一番のチャンスにも強いのでいい。ちゃんとやるときはやって、オフの時とかもメリハリができてて、みんなにもキツく言える、良いキャプテン」。チームメートからも絶大な信頼を得ている。
二回1死三塁、スクイズを決める北海の佐藤主将
2人の兄にかわって
〝兄弟ゲンカ〟に終止符を打った。佐藤主将は4人きょうだいの末っ子で、長男の大哲さん(駒大4年)は駒大苫小牧時代に主将を務め、次男の彰哉さん(北海学園大2年)は、北海でプレーしていたが、新型コロナの後遺症で選手を諦め、2023年南北海道大会準決勝の駒大苫小牧戦では記録員を務め、出場した甲子園でもそのまま記録員としてベンチ入りした。二人の兄の母校同士の対決が決まった後、大哲さんからは「応援してるけど、駒澤も応援してるよ」と挑発され、「北海が勝つ」と返した。彰哉さんからは「見に行くから頑張れよ」と激励を受け、「なんとか結果を出せて良かった」。2人の兄がユニホームを着て聖地に立つことが叶わなかった3兄弟の挑戦は、末っ子が叶えてみせる。
夏の対戦は過去4戦全勝
決勝を戦う札幌日大高との夏の公式戦通算成績は、16年南大会決勝、21年同決勝など札幌支部予選を含めて4戦全勝。今春の全道大会では1回戦で2-0で勝利している。肩の不安は消え去ることはないが、「そこは最後の夏なので、そんなことは言ってられない。試合に出たら痛くない。ケガで結果を出していないのは、今までの自分の実力不足。まず明日、しっかり勝てるように頑張りたい」。頼れる主将が、アドレナリン全開で創立140周年を迎える名門の節目に花を添える。

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