侍デビューの道産子コンビ 平川蓮&秋山俊が示した可能性【日米大学野球】
試合前のセレモニーでチームメートとタッチを交わす平川(左から3人目)と秋山(同2人目)=撮影・桜田史宏
■日米大学野球選手権(7月9日、エスコンフィールド北海道)
▽第2戦 日本8-1米国
早ければ11日にも日本代表が優勝
エスコンでV3王手。8日の第1戦を快勝した日本はこの日も投打がかみ合い米国を圧倒した。2試合続けてスタメン出場した中京大の秋山俊右翼手(4年、登別緑陽中出)が2安打、仙台大の平川蓮左翼手(4年、札幌国際情報)が1安打3出塁と存在感を示した。チームは10日に新潟へ移動。早ければ11日にも日本代表の優勝が決まる。
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第1戦で競うように2安打3出塁をマークした2人が、第2戦でも快音を響かせた。二回の第1打席。2死から7番・秋山が右前に運ぶと、8番・平川は今大会初めての左打席で中前にはじき返し、好機を広げた。秋山は第3打席でも156キロの速球を安打。マルチ安打で2試合通算8打数4安打の5割。「どのピッチャーも150キロを超えて155キロとかまで来るので、やはり速いですけど、自分自身、そこまで苦にしている感じでもないので、その結果が真っすぐを捉えられている証拠かな」と胸を張った。
五回1死一塁、秋山が右前打を放つ
一方、平川は第2打席以降も、振り逃げと四球で出塁し、第1戦の第2打席から6打席連続の出塁。通算6打数3安打1打点で秋山と並んで5割。さらに8打席6出塁と抜群の出塁率を発揮。2試合で左右両打席での安打もマークし、スイッチヒッターの本領を発揮。「つなぐ意識でいったので、ヒットを打てて良かったです。アメリカ相手にパワーだけでは勝負できないので、出塁することを考えてやってました」と、泥くさく立ち向かった。
日本ハムの白井スカウトの評価は…
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ネット裏で視察した、日本ハムの北海道・東北担当の白井康勝スカウト(56)は2人を高く評価。まず平川について「昨日は、右打席で左ピッチャーのあれだけ強い球に対抗していたから、左も見たかった。分かりやすく言えば、右は強さがあり、左はバットコントロールにうまさある」。両打ちと言えば、日本ハムOBの杉谷拳士さん(34)が、22年に左右両打席で本塁打を記録した試合があるが「パワーが全然違う。力があるし、足も肩もあるから、楽しみ」と絶賛した。
四回1死、平川が振り逃げで出塁する
ドラフト指名リストに残っている2人
秋山は宮城・仙台育英高時代に何度も視察。4年がたち「すごく成長していると思いますよ。当時からバッティングセンスのある子だなと思っていたが、大学行ってさらに力がついたし、うまさも。選球眼も良くなっていた。2人とも道産子だし」。日本ハム首脳陣によると、2人ともドラフト指名リストに残っているという。今後も注目する存在だ。
10日の移動日を挟み、舞台は新潟に移る。地元北海道で侍デビューを果たした意義は大きい。平川は「エスコンでやれたのが一番うれしかったんですけど、ジャパンのスタメンとして出られたのが一番の財産として残る。その経験を生かして頑張りたい」。秋山は「地元で試合して、(家族や友人に)自分の良いプレーを見てもらえたと思うので、そこは良かった」と、今後の野球キャリアの中にも、燦然と輝く2日間を振り返った。
試合終了後、チームメートとグータッチを交わす秋山(中央)
代表入りを祝福してくれた中日の先輩も巨人戦で活躍
これで3連覇に王手。6月に日本代表入りが決まると、V2メンバーで仙台大の2学年先輩の道産子、中日・辻本倫太郎内野手(23、北海高出)に報告した。平川は仙台大入学後、ノックで辻本の後ろを守ったこともあった。「おめでとう、頑張ってね」と祝福された。この日、辻本は巨人戦で2安打放ち逆転勝利に貢献。自らも目指す舞台で戦う先輩を「抜かしたいです」と力を込めた。
V3は通過点だ。秋山は「次の試合も取って、3連勝して優勝を決められば一番。そこから、最終的には5連勝することがチームとしての目標」とキッパリ。近い将来、さらに成長した2人が再び侍のユニホームに袖を通す日は決して遠くない。そんな夢物語の実現を想像させるような可能性を、2人は地元北海道で示した2日間だった。
試合終了後、応援に駆けつけてくれた人たちに手を振る平川(中央)