【’25ドラフト道産子有望株】⑨中京大の広角スラッガー・秋山俊 Fジュニア同期・松浦慶斗の背中を追う
中京大の道産子スラッガー・秋山が三回に右翼席中段へソロ本塁打を放つ=撮影・西川薫
■全日本大学野球選手権大会(6月10日、東京ドームほか)
▽1回戦 久留米工業大0-7中京大
※八回コールド
左右広角に3安打2打点1本塁打
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’25ドラフト道産子有望株」。第9回は、中京大の道産子スラッガー・秋山俊外野手(4年)を紹介する。6月10日の全日本大学野球選手権1回戦の久留米工業大戦では、東京ドームに集まった各球団スカウト陣の前で右翼席に特大アーチを放つなど、左右広角に3安打2打点と大きくアピール。登別市出身で仙台育英高3年時に選抜甲子園で8強入りし、中京大では1年春から主力としてリーグ戦通算12本塁打をマークしている。今大会後に行われる侍ジャパン大学日本代表候補合宿にも選ばれており、7月に地元・エスコンフィールド北海道で行われる日米大学野球選手権のメンバー入りへも弾みをつけた。
「打った瞬間、行ったかな」
1-0で迎えた三回の第2打席。甘いスライダーを見逃さず描いた大きな放物線は、東京ドーム右翼席中段まで運ぶ特大弾。「打った瞬間、行ったかなって感じでしたね。ピッチャーが頑張ってくれてたんで、なんとか野手で頑張ろうという話はしていたんで、ホームランって一番良い形が出た」。昨年大会は2勝して8強。「本気で日本一を取りに行くというのをチームとしても言っているので、本当に目標は日本一」と、頂点だけを見据えている。
三回、右翼席中段へソロ本塁打を放つ中京大・秋山
肉体改造で打球の飛距離アップ
中京大では右肩上がりに成長曲線を描いてきた。2年春のリーグ戦は4本塁打で初のタイトルを獲得すると、3年秋に打点王。さらに昨年は11月末から12月にかけて松山で行われた侍ジャパン大学日本代表候補合宿に初招集された。「松山に集まっている選手を見ても、(体が)大きいだけじゃなくて締まってる。力強さを感じた。大きいだけじゃなくて、体の力強さというか、芯の強さみたいなところは求めてやってます」。ウエートにも力を入れ、入学時からは8キロ増の86キロと肉体改造。打球の鋭さ、飛距離アップに成功した。
4年春には4本塁打と15打点で打撃部門の2冠を達成。今大会で持ち味の打撃を象徴したのは第3打席だった。五回2死三塁から左中間を破る適時二塁打。「やっぱり広角に打てるところが一番伸びた。逆方向に強い打球を打てることは自分も求めてやっていた。3打席目のタイムリーで良い形が出ていたので、あれが出てる時は本当に自分の調子が良い状態。一つの自分のバロメーター」。スランプ知らずのバットマンが打線をけん引している。
健大高崎高の石垣元気投手と同郷 「やっぱり負けてられない」
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登別市出身。健大高崎高の158キロ右腕・石垣元気投手(3年)は地元の後輩だ。道外の強豪校へ野球留学したのも共通する。学校やチームが違うため、これまでに接点はないが当然、存在は知っている。「プロに入って、一流になって活躍するのは一つの目標。同じ出身地として、石垣くんが良い活躍をしているのは良い刺激にもなりますし、『やっぱり負けてられない』。良いライバルじゃないですけど、本当に切磋琢磨しながら、石垣くんにかかわらず周りの選手とやっていけたら」。温泉の街として知られる登別市から、一気に2人のプロ選手輩出が現実味を帯びている。
三回にソロ本塁打を放ち、ガッツポーズを見せる中京大・秋山
高校入学後に野手に転向
打者・秋山としての原点は宮城・仙台育英高にある。中学までは投手として全国大会でも成績を残したが、仙台育英高では入学直後のケガもあって野手に転向した。「北海道の方からも、たくさんお声を掛けてもらったんですけど、やっぱり全国の、甲子園の舞台で優勝って考えたら、一番力があるのは仙台育英かなと思った」。1年秋からベンチ入りすると、3年春に選抜甲子園に出場した。「環境も良かったですし、自分で試行錯誤しながら、周りの高いレベルに揉まれながらやってきたのが本当に良かった」。自主性を重んじることで指導方針が重なる中京大に進学し、打撃にはさらに磨きがかかった。
地元に凱旋できる日米野球を目指す
2015年の日本ハムファイターズ(F)ジュニア出身。当時から身体能力はズバ抜けていた。今回の大学日本代表選考合宿を生き残れば、日米大学野球の第1戦と第2戦は日本ハムの本拠地・エスコンフィールド北海道で開催される。「地元で試合をするのは思い出にもなります。エスコンでまだ一回もプレーしたことはないので、本当に憧れの球場。やってみたい気持ちがある。なんとか代表入りして、エスコンの舞台でプレーできるように頑張りたい」。日の丸のユニホームを着て、地元に凱旋するつもりだ。
三回のソロ本塁打で祝福を受ける中京大・秋山(手前右)
小学時代、松浦とは同部屋で仲良し
Fジュニア時代は投手で、当時チームメートだった現日本ハム・松浦慶斗投手(21)とは滞在先ホテルで同じ部屋になるなど仲良しだった。松浦は4年前に、大阪桐蔭高から一足早くプロ入りが決まった。「同じユニホームを着てプレーした人が、一歩先の上の舞台でやっているのを見ると、悔しいじゃないですけど、早く自分もその舞台に行きたいと思う。このラスト1年が自分の勝負だと思っているので、早く追いつけるように頑張りたい」。自らのバットで、この先の運命を切り開いていく。
■プロフィール 秋山 俊(あきやま・しゅん) 2003年4月20日、登別市生まれ。富岸小1年から富岸ファイターズで野球を始める。6年時には日本ハムファイターズジュニアに選出され、エースで4番を担った。登別緑陽中時代は、軟式クラブチームの登別ビッグ・フラップ・オーシャンでプレー。U14北海道選抜では投手として全国中学生軟式野球大会で初優勝に貢献した。仙台育英高では野手に転向。1年秋に一塁手でベンチ入りし、2年秋から中堅手へ転向。東北大会を制して、翌春の選抜甲子園で8強入り。中京大では1年春から公式戦に出場し、2年春のリーグ戦で本塁打王を獲得。3年で全日本選手権に初出場して8強入りし、秋に打点王を獲得した。24年11月の侍ジャパン大学日本代表候補合宿に初選出。4年春に本塁打と打点の2冠を獲得し、25年6月に2度目の侍ジャパン合宿に選出されている。180センチ、86キロ。右投左打。
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