《岩本勉のガン流F論》進藤の技術も上げた北山の投球 思い出したツルちゃんと組んだ現役ラスト登板
■パ・リーグ7回戦 ソフトバンク1-2日本ハム(5月21日、エスコンフィールド北海道)
北山の意地を見たラスト九回のマウンド
大きな意義のあるサヨナラ勝利だった。決めたのは郡司。その劇的勝利を呼び込んだのは北山に他ならない。九回のマウンド。北山の意地を見た。2死から中村にヒットを打たれた後、打席に柳町を迎えて一層、ギアを上げた。なんとしても9回を投げきる! その表情、押し切る姿勢に先発ピッチャーとしての誇りを感じた。
チームを勝たせ、チームに勝ちを付けてもらった試合
適度な荒れ球で、一つ一つのボールはいずれも強かった。10奪三振という数字が物語る。二回、自らの守備のミスからピンチを広げ、先制点を献上したものの、投球自体は見事だった。失敗こそあれ、後悔のないピッチングだったはずだ。
北山がチームを勝たせ、またチームも北山に勝ちを付けた試合だった。
【道新スポーツ全部読める 2千円お得な年払い】
これ以上ない経験を積んだ進藤
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
北山は若いキャッチャーの技術も上げた。バッテリーを組んだ進藤はプロで自身初の完投キャッチャーとなった。息詰まる投手戦。これ以上ない経験を積んだことだろう。また進藤も一流のフレーミング技術で、北山の調子を一層、上げてくれたのも事実だ。
若い捕手に対して心がけた相談
私も現役時代、何度も若い捕手とバッテリーを組んだ。荒井修光に小笠原道大、高橋信二、そしてツルちゃん(鶴岡慎也)。若いキャッチャーと試合に臨む時ほど、相談を心がけたものだ。イニング間に直接、言葉を交わした。皆、心を開いてくれ、すぐに私を引っ張っていってくれるようになっていった。
現役ラスト登板でコンビを組んだツルちゃん
忘れられないのはツルちゃん。私の現役最後の試合で、バッテリーを組んだ。2005年9月25日のオリックス戦。場所は大阪ドームだった。私は4点リードの九回に登板し、1回をパーフェクト。完了投手となった。一方、ツルちゃんにとってはプロ3年目で自身初の完投ゲームだった。試合後、彼にウイニングボールを渡した。「これからも、ひたむきに頑張ってくれよ」という思いを込めた。
鶴岡慎也さんにダメ出し!
互いにユニホームを脱ぎ、ある日、彼に言われた。「あのボール、実家に飾ってありますよ」と。ホンマにうれしかった。ただ、見せられた写真の中に記された球場名が「神戸グリーンスタジアム」となっていた。ツルちゃん、ちゃうで! 大阪ドームやで!