アマスポーツ
2021/11/15 15:03

札大谷 女子4年ぶり10度目頂点 高校バレー

女子決勝、札大谷は優勝が決まった瞬間、控え選手たちが一斉になだれ込み、コート上の選手たちと喜びを爆発させた(撮影・小田岳史)

全日本バレーボール高校選手権道代表決定戦(最終日 13日、江別・野幌総合運動公園総合体育館)

 男女準決勝と決勝が行われた。女子決勝は、札大谷が2―0で旭実を下して4年ぶり10度目の優勝を果たした。準決勝で3連覇中の札山の手を下し、決勝では今夏の全道女王を撃破。夏の決勝リーグで敗れた両校にリベンジして全国切符を手にした。男子決勝は、東海大札幌高が2―0で札藻岩に勝ち、3年ぶり36度目の優勝を飾った。決勝に進んだ男女4チームは、来年1月5日から東京体育館で行われる全国大会に出場する。

全中8強組の6年間の集大成

 女子の頂上決戦。第1セットを奪った札大谷は、第2セットも8点リードでマッチポイントを迎えた。旭実のスパイクがアウトになると、ベンチから控え選手が一斉になだれ込み、コート上の選手と喜びを爆発させた。
 セッターの山田帆夏(3年)は「サーブで攻めて相手を崩す、いつも通りのプレーができた。目標は日本一」と、大舞台での快進撃を誓った。
 就任4年目の緒方正広監督(52)は、1987年の現役時代に東海第四で高校3冠に輝いた名選手。就任初年度にいきなり全国に出場したが、自らが3年間育てて全国に行くのは初めて。「拾ってつないでが、うちの良さ」と、粘りのプレーがチームカラーだ。
 6月の全道大会後、Vリーグ入りを目指している女子のクラブチーム「アルテミス北海道」を相手に強化練習を行った。山田主将は「高さがあって、とてもブロックが上手。ブロックフォローがうまい」と、プレーを参考にして自分たちの腕に磨きをかけてきた。
 さらに指揮官は「みんな、何でもできる。将来がある子どもたち」と、次のステップでもプレーの幅を広げさせるため、選手たちに複数のポジションを任せてきた。
 山田主将は「普通はやらないようなところから」相手の隙を突くツーアタックを得意としながら、時にはリベロとして守備に徹する。
 監督の長女、センターの緒方咲月(2年)も、アタックやブロックはもちろん、場面によってはトスも上げて攻撃に変化を加える。変幻自在だ。
 スタメン6人中、5人が札大谷中出身。3年前の全国中学8強メンバーだ。結束力は、どこにも負けない自信がある。
 3年生にとっては、高校生活で初の全国大会。山田主将は「6年間一緒にやってきた仲間と、1秒でも長くできるように頑張りたい」。今度は、“春高”のオレンジコートで日本一を目指す。(西川薫)

準V旭実 全国で越川コーチに恩返しだ

 夏に続いて2冠を狙った旭実は準優勝に終わり、8月に就任したV2男子・ヴォレアス北海道の越川優コーチ(37)に吉報を届けれなかった。越川は12日の3回戦までベンチ入り。この日は旭川でVリーグの試合に出場するため不在だったが、前夜は旭川での自チームの練習後にも江別にある旭実の宿舎に戻って選手たちを鼓舞していた。
 旭実は、ビーチバレーをこの夏から練習に導入。岡本祐子監督(43)が経験のある越川に協力を求めた。元々は体力づくりが目的だったが、「太陽の下でボールを追いかけると笑顔になる」と、指揮官はグラウンドの砂場を改造し、コートまで設営した。週2回程度の練習だったが、国体ではインドアとビーチ、2競技で道代表となった。
 さらに、元日本代表直伝の武器も授けられた。夏までバックアタックを打てる選手がいなかったが、選手らが自主的に必要性を訴え、正木七海(3年)と笠井季璃(1年)の2人が打てるようになった。飯田有音主将(3年)は「越川さんに、全国で勝って報告したい」と、恩返しを誓った。

越川コーチ自身の試合後に駆けつけ

女子の決勝が終わった直後、旭川でVリーグの試合を終えた旭実の越川コーチ=写真=が会場に到着。「間に合わなかった」と悔しがったが、チームの一員として岡本監督や選手らに優しく声をかけ、準優勝をたたえた。

東海大札幌高 男子名門復活

 名門復活だ。準決勝、決勝と圧倒的な高さで相手を圧倒した。チーム最長身の193センチ、山田祐輝(2年)が攻撃の中心となってチームをけん引。「ずっと優勝候補と言われていた。この2年間を乗り越えられて良かった」と、胸をなで下ろした。日本代表の石川祐希(25)を目標に、夏場は2段トスを打ち切ることを練習で徹底してきた。「全国に行けただけで終わるつもりはない」。北の“ユウキ”が、全国でも強烈なスパイクを決めまくる。

札藻岩 公立唯一の全国

決勝で敗れはしたが、男女通じて公立校で唯一の全国切符をつかみ取った。森元聡監督(57)は「そんなに有名な子がいなくても、なんとかするのが公立」と、雑草軍団を3年ぶりに全国に導いた。夏以降、一度引退してチームに戻ったリベロ山内然(3年)は、「小1からやっているけど、人生初の全国。一気に感情がこみ上げてきた」と、準決勝の恵庭南に勝利した瞬間、大号泣。「負けたチームの分も背負って、恥ずかしくないようにプレーしたい」と全国大会を見据えた。

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