ファイターズ
2021/11/12 13:47

新庄監督 〝ビッグボス流〟走塁改革だ

スタンドからシートノックを視察しグッドポーズをする新庄監督

 今度は走塁改革だ―。日本ハムは11日、沖縄・国頭で行っている秋季キャンプの第2クールを終えた。ビッグボス・新庄剛志監督(49)の視察は10日で終了したが、この日の練習でも新指揮官の意向は存分に反映された。走塁練習では、ベース上の踏む位置を設定するなど、細かい技術を求めた。隙のない野球で勝利を重ねていくためにも、機動力への意識づけを徹底していく。

 おぼろげながらも“ビッグボス野球”の形が見えてきた。新庄監督が視察に訪れたこの第2クール、守備と走塁への強い意識が感じられた。
 この日は行程メニューに入っている走塁練習に変化があった。ベースの内側に、赤と緑のテープが貼られていた。紺田2軍外野守備走塁コーチは「左足と右足で踏む位置が少し違うので、色が付いていた方がはっきりする。赤が左足で、緑が右足ですね」。小さい膨らみでベースを回れる位置を設定した。
 ビッグボスは、視察した8日、選手たちのベースランニングを観察し「みんな、ずっと(膨らみが)大きかった。細かいところをチェックして、教えたいポイントはインプットできました」と話していたが、すぐに練習メニューに反映させた。
 チーム随一の走力を持つ五十幡は「コーナーを小さくしたりとか、意識はしていたんですけど、もっとうまく回れる蹴り方、それが明確に分かったような気がする。繰り返しやっていきたい」と意欲を見せた。
 さらに、9日とこの日は一塁ベースの本塁側から二塁ベースまで、一本の白線が引いてあった。そのラインこそが二塁への最短距離。近年は三塁への回りやすさや、二塁ベース上でのタッチの避けやすさを重視するため、ベースよりも外野側にリードすることが主流だった。
 しかし、ビッグボスは速く次の塁へたどり着くことを優先した。今季1軍デビューを果たした宮田は、走塁技術の向上に貪欲だが「違和感しかないけど、新たな発見です」と驚きを口にする。リードの位置が違うだけで、二塁ベースの見え方、投手との距離感が大きく変わる。「実戦で1回、試してみたいですね」と目を輝かせた。
 今季は得点力不足に泣いた。紺田コーチは「意識させてどうやって点を取るのか。監督がそういう風に見ていると思えば、選手も全然違うと思う。そういう野球をすると、選手に伝わる」。
 ビッグボスが描く野球の根底には、確実に得点を重ねて守り切る「スモール・ベースボール」が存在する。

新庄監督 稲葉GMへ仰天要求「ベンチをセンターに置いて」

 センターに“ビッグボスベンチ”登場か―。稲葉GMが11日、8日間の秋季キャンプ視察を終え、「(新庄監督が)ベンチをセンターに置いてくれないかなって言っていた」とビッグボスの仰天要求を明かした。
 センターベンチの設置は現実的には難しい。それでも指揮官の意図を稲葉GMは「センターだと全体を見られる。バッターの反応もそうですし、(本来の)ベンチでは見られないから」と理解していた。
 守備や走塁の細部にまでこだわって、緻密にチームを強くしていこうとするビッグボスの姿勢は、稲葉GMが理想とするチームづくりと一致する。「野球観は僕と、ものすごい一緒。やっぱり守備から攻撃にというか、そういうチームを目指していけば、長く強いチームになる」。かつて鉄壁を誇った2人の元外野手が力を合わせ、常勝軍団を築き上げる。

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