アマスポーツ
2023/04/18 19:00

8月に厚真町でU-12国際大会開催 元日本代表の巻誠一郎さんが大会委員長

「U12国際フットボールドリームカップ」で大会委員長を務めるW杯元日本代表の巻誠一郎さん(撮影・桜田史宏)

2006年W杯日本代表

 被災地から子供たちに夢を-。2006年サッカーW杯日本代表の巻誠一郎さん(42)が大会委員長を務める「U12国際フットボールドリームカップ(主催/カベッサ北海道ほか)」が、23年8月に厚真町浜厚真野原公園サッカー場で初開催される。参加チームは地元・北海道コンサドーレ札幌U-12をはじめとする道内チームとJクラブ下部組織、タイや韓国、中国など国内外の32チーム。道産子小学生世代の競技力向上を後押しする。

サッカーを通して被災地を復興させる

 巻さんは、故郷・ロアッソ熊本時代の16年4月に熊本地震を経験。今回の会場となる厚真町も18年に胆振東部地震で大きな被害を受けた。来年は熊本で開催することが決まっており、サッカーの国際交流を通じて、復興の取り組みへの意義や未来へのメッセージを発信していく。また巻委員長が総監督を務める16人の選抜チームが出場。5月30日に札幌市内でセレクションを行う。

タイ、韓国、中国からも参加予定

 豪華チームが厚真に集結する。Jクラブ下部組織からは柏レイソル、浦和レッズ、ガンバ大阪、ベガルタ仙台が決定。さらに全日本U-12選手権2連覇中のレジスタFC(埼玉)など国内トップクラスが参戦する。さらに海外からは、タイ・ブリーラムユナイテッド、韓国Kリーグ下部組織の選抜チーム、中国のTCFが出場予定。それを札幌U-12や4月の全国小学生選抜大会の北海道大会で優勝したDENOVA札幌、SSS、ベアフット北海道などが迎え撃つ。

「北海道に来て試合をやってくれることがなかなかない」

 構想が持ち上がったのは22年。21年10月から札幌市内で開講するサッカースクール「カベッサ北海道」を指導する中で「(北海道は)道外に出ていかないと、いろんなチームと試合ができない。また、北海道に来て試合をやってくれることがなかなかない」とサッカーを取り巻く環境や課題を耳にした。「九州であれば8つの県がありますし、関東、関西とかは陸で東北までつながってます。もう少し北海道の子供たちにも刺激をといいますか、いろんな環境で試合ができる、そういうものを作れたらいいなと。コロナも割と落ち着いてきたので、せっかくだったら国際交流も含めて海外のチームも呼んだ国際大会にしたい」と夢プランが実現に向け動きだした。

「大切なのは子供たち、未来を担う子供たち」

 舞台を厚真に選んだのは、震災から復興を目指す土地だからだ。「災害が起こった後、4、5年たてばインフラの状態は元に戻るかもしれないけれども、マチの活気や人の心っていうのは本当に5年、10年、30年、50年って長い年月をかけて元に戻していく。そういう中でやっぱり大切なのは子供たち、イコール未来を担う子供たちだと常にキーワードにしている。地域を盛り上げるとか、継続すること。僕らができるのはそういうきっかけ作り」。熊本地震から4月14日で7年。復興を目指す思いを共有する厚真町と連携しながら、前へ進んで行く。

5月に選抜チームのセレクション開催

 なぜU-12世代なのか。大会や試合、プレーひとつで人生は変わる。それを知る自身の過去の経験から、子供たちに一つでも多くのきっかけを与えたかった。熊本県の宇城河江小5年からサッカーを始め、競技歴わずか1年で九州選抜に選出。「小学校のチームはむちゃむちゃ弱かったんですよ。1回戦で必ず負けちゃう。11人もいないチームだったんです。でも運動神経だけは良かったので、そこから経験させていただいて自分の視野が非常に広がった。目標や基準もすごく高いところに志を持つことができて刺激になった。そういうことを経験するのは非常にいいこと」。その経験が今回の選抜チームの結成につながった。「僕みたいにあまりチームが強くないとか、環境がない子供たちでもチャンスを得られるようにと考えた」。巻総監督の下には、元日本代表の那須大亮(42)が就任。5月のセレクション合格者は6月にトレーニング、7月と大会直前にトレーニングマッチを行い、大会に臨む。

札幌と熊本の深い縁

 市原(現千葉)、熊本時代に札幌と何度も対戦。また熊本で元札幌の岡本賢明(35)や上里一将(37)と共にプレーした。「意外に札幌の選手が熊本にくることが多かった。今はまたちょっと変わっちゃいましたけど、財前さんとかですね。キャンプもいつも熊本でやっていただくので、ミシャとかは仲良くさせていただいている。元々オシムさんと非常に縁の深い監督でしたので」と懐かしんだ。

大会スポンサー募集中

 自ら広告塔になる。現在、大会スポンサーを募集中。事務局費を除いた協賛金は、各国から来るチームの渡航費として補助する。「大会に参加する子供たちも参加しない子供たちも、この大会を目指してとか目標にしていただけるようにしていきたい。継続していくためには、僕らだけの力ではなく札幌の企業さんだったり地域の皆さんの力が必要」。記念すべき第1回を成功させ、歴史ある大会へと成長させる。

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