ファイターズ
2021/10/04 11:56

佑 鎌ケ谷ラス投 涙の三振締め

目に涙をためながらの鎌ケ谷ラスト投球。斎藤はDeNAの乙坂を空振り三振に斬って取った(代表撮影)

■イースタン 日本ハム1-6DeNA(10月4日、鎌ケ谷)

 佑ちゃん、涙の鎌ケ谷ラスト登板―。今季限りで現役を引退する日本ハムの斎藤佑樹投手(33)が3日、イースタン・リーグ最終戦のDeNA戦(鎌ケ谷)に登板。六回から4番手でマウンドに上がり、打者1人を空振り三振に仕留めて2軍での最終登板を終えた。早実高の後輩でもある清宮幸太郎内野手(22)へ、涙ながらに思いを託した。

「皆さんとの思い出は僕の一生の宝物」

 泣くつもりはなかった。でも、マウンドに立つ斎藤の目には涙が浮かんでいた。多くの時間を過ごした鎌ケ谷で最後の登板。1379人のファンの温かい拍手を受け、「キャッチャーのミットめがけて投げることしかできなかった」と無我夢中に腕を振った。

全球ストレート勝負「今の最大限のフォーシーム」

 全球ストレート勝負。カウント2―2から最後は「今の自分が出せる最大限のフォーシーム」という132キロ直球で乙坂のバットに空を切らせた。「不覚にも泣いてしまったことは反省ですけど、ずっとやってきた仲間と一緒に、最後にグラウンドに立てたというのは、とてもうれしいことです」と喜びをかみしめた。

「幸太郎に泣かされた」

 早実高時代の2006年、夏の甲子園決勝以来という涙。「単純に(清宮)幸太郎が来て、泣かせられたというのが一番です」。目に涙をためながら声を掛けてきた後輩の姿に涙腺が緩んだ。投球直前「楽しんで投げてください」とボールを渡された。涙をこらえようとしても視界はぼやけていった。

王さんに「後は幸太郎に任せました」

 肩、肘の故障の影響もあって引退を決意。「絶対に来年以降、ファイターズを代表するスラッガーになる」と期待を寄せる後輩に思いを託した。引退表明後に斎藤は、清宮へこう言葉を掛けた。「(早実の大先輩である)王(貞治)さんに『後は幸太郎に任せました』と言っておいたから」。先輩からの激励を後輩は「重い言葉です。でも、うれしいです」と受け取った。

仲間たちから粋な演出

 2軍ラスト登板では、仲間たちからの粋な演出もあった。この日の登場曲はスキマスイッチの「スフィアの羽根」。自身が夏の甲子園を制した06年、テレビ朝日系「熱闘甲子園」でテーマソングとして使われていた曲だ。仲の良い杉谷が「最後この曲でいきましょう」と提案してくれた。

セレモニーでチームメートと記念撮影

 試合後のセレモニーでは「皆さんとの思い出は僕の一生の宝物です」とあいさつ。杉谷、ドラフト同期で同学年の榎下広報から花束を贈られ、チームメートたちと笑顔で写真に納まった。

17日に札幌Dで引退試合

 今後は17日のオリックス戦(札幌ドーム)で、引退試合とセレモニーが行われる。「ちゃんとキャッチャーに届くまで、バッターを抑えられるように準備をしていきます」。感謝の思いを胸に、北海道のファンへ最後の雄姿を届ける。(中田愛沙美)

≪記事リンク≫清宮感涙 「僕にとっていつまでもスーパースター」

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