冬季スポーツ
2022/10/29 23:00

中村6季ぶり優勝も〝敗者の弁〟「陵侑ならどこまで飛んでくるか」 UHB杯ジャンプ

130mを超えるジャンプを2本揃え、優勝した中村の2本目(撮影・星野雄飛)

■UHB杯ジャンプ(29日、札幌大倉山ジャンプ競技場)

 男子は中村直幹(フライングラボラトリー)が1回目にヒルサイズに迫る136メートル、2回目に131.5メートルを飛び、合計255.5点で優勝を飾った。1回目で6位だった二階堂蓮(日本ビール、下川商高出)は、2回目で130.5メートルを飛び2位に入った。50歳の葛西紀明(土屋ホーム)は9位だった。

ただ一人130メートル超え2本も

 「勝てなかった」。男子優勝の中村から〝敗者の弁〟が飛び出した。「小林陵侑だったらどこまで飛んで来るかなって。僕の中の架空の陵侑にはまだ勝てずにいました」

 他から見れば勝者に値する飛躍だった。小林陵以外の五輪代表や絶好調の二階堂が名を連ねる中、130メートル超えを2本揃えたのは中村のみ。大倉山では6季ぶりの優勝だ。それでも「イメージの陵侑は2本ともヒルサイズを越えていた。僕がばらついた上の風も、陵侑なら、もっともっと高く速く進んだ」と言う。

 今夏から拠点をドイツに移した。「陵侑にできなくて、僕しかできないことをやろう」。昨夏も短期の欧州武者修行を行ったが、今季は種類の違う台を試せる機会がより増えた。成果はこの日「うまく表現できた」。

陵侑のメダルが「一つの基準」に

 しかし、仲良し同級生である小林陵のメダルが「一つの基準」になったから満足できない。「嫉妬もありますよ。でも、そういう気持ちって諦めていないからだなって」

 五輪後初めて迎える冬を楽しみにさせてくれる、前向きで、爽やかな〝敗者の弁〟だった。

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