ファイターズ
2021/09/29 12:19

河野 8度目の正直だ 今季先発初勝利

先発の河野が六回無死一、三塁のピンチを無失点で切り抜け、吠えながらグラブを叩く(撮影・松本奈央)

■日本ハム3-1楽天(28日、楽天生命パーク宮城)

 今季先発初勝利で、チームの危機を救った! 日本ハムの河野竜生投手(23)が28日、楽天戦に先発して6回3安打1失点(自責0)。後半戦からの先発再転向後、初勝利を挙げた。打線は1―1の五回、石井一成内野手(27)が伊藤大海投手(24)と新人王を争い、早大出身の後輩でもある楽天・早川隆久投手(23)から2ランを放って勝ち越し。引き分けか負けならばクライマックスシリーズ(CS)に自力で進出する可能性が絶たれていたが、3―1で快勝して踏みとどまった。

「いつかチームが打ってくれると信じて投げていた」

 中継ぎへの配置転換も経験し、今季8度目の先発でやっと手にしたウイニングボールだ。ズボンの右ポケットにしまって上がった敵地のお立ち台で、河野の大きな瞳がキラキラと輝いた。
 「いつかこうやってチームが打ってくれると信じて投げるだけだと思っていた。勝利が中継ぎでの2勝だったので、先発で勝ちたいという思いが強かった。この1勝はいいきっかけになると思う」
 9勝を挙げているドラ1左腕・早川との投げ合い。試合前には新人王を争うチームメートの伊藤から「10勝目、阻止しておいてくれ」と大きな期待をかけられていた。「何とか大海さんに新人の(10勝)一番乗りを味わってほしかった」と懸命に腕を振った。
 最大のハイライトは2点リードの六回。連打で無死一、三塁のピンチを背負ったが踏ん張った。島内を投ゴロ、岡島を左飛に打ち取り、最後は茂木を143キロ直球で空振り三振。粘りの投球で、先発での今季初勝利をつかみ取った。
 故郷・徳島からいつも応援してくれる両親、祖父母ら家族の存在が原動力だ。年末年始、実家に帰ると河野の写真や記念盾を並べたコーナーが作られ、プロ初勝利のボールと、その時に使用していた紺色のグラブとユニホームが目立つように飾ってあった。「きれいに飾られていてすごかった」と胸が熱くなった。
 プロ入りの際には、父・幸政さんにトヨタ車のクラウンをプレゼント。プロ2年目の今季は、初めて札幌ドームの試合観戦に招待した。今後もさらなるビッグな贈り物を計画中だ。
 「家を買ってあげたら、かっこいいですよね。とりあえずローンがあと何年あるのか聞いたら、来年か再来年で終わると。親は今の家に一生、住もうとしていますけど、何かやってあげたいです」
 孝行息子は好投で、チームの自力CS進出可能性の消滅危機を救った。河野の恩返しはまだまだ続く。
 

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