女子100メートル 石堂が追い風参考11秒38で優勝
■南部忠平記念陸上(10日、札幌厚別公園競技場)
石堂陽奈(環太平洋大2年―立命館慶祥高)が女子100メートルで追い風参考ながら11秒38で優勝した。
日本選手権で代表入り逃す「もう少し自分が速ければ」
苦手のスタートで先頭に立った。「アップの時もスタートでうまく足が前に出てこなくて、予選もつまずいてしまった。決勝はそこをしっかりと直せるようにと、アップで動きの確認をしました」と、しっかり修正して好走につなげた。
憧れの福島千里さんが持つ日本記録まで0秒17差。「代表のコーチや関係者の皆さまが見てくれている。その中で良いタイムでアピールできたことは、すごく良かった」と目を潤ませた。
心の中は悔しくて仕方がなかった。午前中は代表のリレーメンバーと話すシーンもあったが、「すごく嫌でした」。6月の日本選手権は8位で代表入りを逃した。「(結果的に)日本選手権の5番目までが代表に入ったと思うんですけど、5番以降はほぼ同時にゴールに入った。『もう少し自分が速ければ』、という気持ちがありました。本当に手が届くところに日本代表があったので。見るのが少し嫌でしたけど、本番は応援したいと思います」と、素直な気持ちを吐露した。
スランプ乗り越え成長「つらい時を耐え抜いた」
昨年の春、大学に進学も環境に慣れずに調子を落とした。「本当に苦しかった。同級生2人が五輪代表に入ったり、競技場も見たくなくなって。でも、競技場に毎日通って、嫌でも走り続けて、つらい時を耐え抜いたのが、今につながっている」。苦難を乗り越えたことで一回り成長を遂げた。
けがと向き合いながらの競技人生だ。「足の甲はだいぶ良くなったんですけど、右足の足底筋膜炎とアキレス腱の付着部炎。治療をしながら練習や試合に臨んでいます。走りながらの治療になるので、時間はかかっているんですけど、だいぶよくなってきています」。完全復活したらどんな走りが期待できるのか、20歳の可能性は無限大だ。
次は同じ舞台へ。「来年、再来年は、青山さん、御家瀬さん、児玉さん、君嶋さんに勝って、代表に入って世界と戦いたい」。スランプを脱したスプリンターが、右肩上がりの成長曲線を描く。