高校野球
2022/07/07 23:25

亡き父からの「最後の試練」乗り越える 知内・高橋主将が夏の甲子園初出場狙う

札龍谷との初戦が決まった知内の高橋主将。父の死を乗り越え、チームの悲願を目指す(撮影・木村健太郎)

南・北北海道大会組み合わせ決定

 全国高校野球選手権南・北北海道大会の組み合わせ抽選会が7日、札幌と旭川市内で行われた。南大会では知内が開幕する16日の第3試合で札龍谷と対戦する。高橋匠主将(3年)は先月に亡くなった父の死を乗り越え、夏の甲子園初出場を目指す。

地区予選前にがんで他界

 地区予選前の6月2日、知内の高橋主将の父・司さんが肺がんでなくなった(享年56)。心に動揺が無かったと言えばうそになるはずだ。それでも主将は「心は折れなかった」という。「悲しいというより、いかに平常心でいられるか、チームを引っ張っていけるか。お父さんから与えられた最後の試練だと思っています」と気丈に続け、私心を捨てて南大会出場を果たした。

 吉川英昭監督(46)は「一人の高校生であり、子供であり、野球部の主将でもある。今も心の持ちようは難しいと思う」とおもんぱかる。部員たちには、プレーだけではなく、気持ちのカバーリングの必要性を説き、主将をもり立てチームはより一体となった。

地域からの支援を力に変える

 父への思いはもちろん、地域のためにも、1993年センバツに続く夏の甲子園初出場を果たしたい。人口約4000人の知内町で、町立校が強豪でいられるのは、町が掲げる地域創生活動の一環に野球部があり、財政、施設面で手厚い支援を受けているからだ。

 野球以外に地域に貢献できる人間を育てることも部の方針だ。恒例となっている東北遠征では練習試合のほか、東日本大震災の被災地を訪ねる交流活動も同時に行っている。「本当に町全体で応援していただいています」と、高橋主将は感謝の思いも力にする。

 「いつも通り戦えれば、甲子園への可能性は十分にあると思います」。自らの不幸を支えてくれた仲間とともに、町の期待も背負って悲願を目指す。

【高校野球の記事一覧はこちら】

あわせて読みたい