ファイターズ
2022/07/07 23:55

七夕の夜に願い叶った! 田中がプロ初先発初勝利「この景色を見たくて頑張ってきた」

試合後、ウイニングボールを手にBIGBOSS(右)と記念撮影する田中(撮影・富田茂樹)

■日本ハム7-1ロッテ(7日、ZOZOマリンスタジアム)

右肘手術、戦力外通告…試練乗り越え堂々6回4安打1失点

 7月7日七夕の夜に、キラリと光るスター候補が誕生した。7月1日に支配下登録された田中瑛斗投手(22)が1軍初先発で6回4安打1失点と好投。3年ぶりの1軍マウンドで、うれしいプロ初勝利を挙げた。

 お立ち台では「いやーもう、最高です」としみじみ。「この景色を見たくてプロ野球で頑張ってきていたので、本当にこういう結果になって良かったです」と端正なマスクをほころばせた。

 2020年7月に右肘を手術。昨オフに戦力外通告を受け、育成契約を結んだ。苦闘の日々を乗り越えて戻ってきた1軍のマウンド。チームの仲間たちは「絶対打ってやるぞ」、「守ってやるぞ」と心強い声掛けをしてくれた。

同期・清宮に「打ってくれ」 有言実行の10号ソロ 

 2017年ドラフト同期で仲良しの清宮は、約束を果たしてくれた。登板前から「打ってくれ」とお願い。一回のピンチを無失点で切り抜け、ベンチ裏でアンダーシャツを着替えていると「幸太郎が打った」と声を掛けられた。

 二回、先制の右越え10号ソロ。直接見ることはできなかったが、急いでベンチに戻って2人で抱き合った。「(清宮)幸太郎とジェイ(野村)は、『瑛斗さんの時のために取っておきますよ』とか毎日言ってくれていた。2人とも打ってくれたので心強いです」と感謝した。

今年1月上沢に弟子入り 1軍打者への心構え授かる

 育成から再スタートを切った昨オフ、親身になってくれたのがエースの上沢だ。今年1月の自主トレーニングでは弟子入りを志願。朝から晩まで一緒に過ごし、トレーニング方法を教えてもらった。

 上沢はこの日、8日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)に備えて福岡入り。事前に自身のプロ初登板をもとに1軍の打者と対戦する心構えを説いてくれた。「チャンスはいつ回ってくるか分からない。一発目が大事だからしっかり頑張れよ」。師匠の教えを守り、堂々たるピッチングを披露した。「そういう(戦力外やけがを乗り越えた)ヤツこそ、チャンスをもらった時に強いんだぞ、というところを見せたかった」と胸を張った。

 これまでなかなか白星に恵まれれず。今年5月17日の2軍ヤクルト戦で、1、2軍通算56試合目で〝プロ初勝利〟を挙げたばかりだった。「ほんと、不思議なもんですね。77球で7月7日、来週(13日)は誕生日。覚えやすいですよね」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 天の織り姫とひこ星が、年に1度だけ再会できる幻想的な夜。田中にとって、忘れられない七夕の77球になっただろう。

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