Vリーグ
2022/04/09 23:00

ヴォレアスV1昇格へ王手! エース張が両チーム最多43得点奪い入れ替え戦先勝

第3セット、得点を決めた張(右)をたたえる越川(中央)と浜田。ヴォレアスが激戦を制し、先勝した(撮影・宮永春希)

■V・チャレンジマッチ 1、2部入れ替え戦 第1戦(9日、神奈川・小田原アリーナ)

 今季のV2男子を制したヴォレアス北海道が9日、V1で10位のVC長野との入れ替え戦第1戦に臨み、フルセットの末に3―2で勝利。悲願のV1昇格に王手をかけた。右膝を痛め、出場が危ぶまれていた台湾代表のオポジット・張育陞(チャン・ユーシェン、22)がフル出場。両チーム通じて最多の43得点をマークし、セットカウント1―2からの逆転勝利に貢献した。2016年創設のヴォレアス。道内クラブ初となる国内最高舞台への昇格に向け、きょう10日の第2戦に臨む。

 これぞ昇格への執念だ! ヴォレアスがVC長野を振り切った。勝利の瞬間、メンバー全員は喜びを爆発させた。エド・クライン監督(40)は「よく1―2の状態から巻き返すことができた。4、5セット目は一番いいバレーができていた。あしたはまた別の試合になる」。警戒を緩めることなく、第2戦を見据えた。

 心配は杞憂(きゆう)に終わった。手負いのエース・張が大一番で躍動した。痛めた右膝はテーピングでグルグル巻き状態。それでもコートに立つと、ライト、レフト、バックアタックと縦横無尽に暴れ回った。分厚いブロックを何度もぶち破り、次々に鋭いボールを相手コートに突き刺した。終わってみれば、相手ミスを除くチーム総得点92点のうち、43点を叩き出した。張は「足は痛くない。あしたも絶対負けたくない。自分の仕事を頑張りたい」とエースのプライドをのぞかせた。

 苦戦は想定内だった。指揮官は「サイドアウトはV1でもトップレベル」と対策を練ってきた。だが、第2、3セットで連続得点は数えるほど。アウトサイドヒッター(OH)の佐々木博秋(27)は「V2でできていたのが決まらなかった。ブロックで弾いた先に選手がいたり、相手の読みも優れていた」と連続でセットを失い逆転を許した。

MB田城貴投入で勝利へ加速「全部出し切ってやろうという気持ちでプレーした」

 後がなくなった第4セット。ベンチメンバーが流れを変えた。指揮官は、先発ミドルブロッカー(MB)の後藤万澄(25)に代えてMBの田城貴之(30)を投入。すると、サービスエースやセンターからのクイックなどで2セット合計7得点。攻撃も多彩になり、一気に勝利へ加速した。「どんな結果になっても全く悔いは残らない、全部出し切ってやろうという気持ちでプレーした。北海道にV1チームを誕生させるために5年間、毎日頑張ってきたので、明日はみんなの力を合わせてヴォレアス史上最高のゲームをしたい」と、昇格へ意気込んだ。

 〝小田原決戦〟で、まずは先勝。2016年のクラブ誕生時から掲げてきた目標に、あと1勝と迫った。今季限りで引退する元日本代表のOH・越川優(37)は「今季は一人一人が自分の役割を果たしてきたからこそ、V2で結果を残してこられた。みんなで取ったチャンスを、チームとして生かすために自分が何をしなければいけないかを、考えられるチームになってきている」と成長に目を細めた。自身の現役最終試合でもある第2戦へ「勝って終わりたい」と力強く宣言した。クラブのシンボルはかつて道内に生息していたエゾオオカミ。遠く離れた地から北海道へ、勝利の雄たけびをとどろかせる。

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