冬季スポーツ
2022/02/24 14:35

《道勢アスリート次なる目的地》㊦ 男子ジャンプ陣 エース陵侑頼みの脱却を

ノーマルヒルで金を獲得した小林陵(撮影・中本翔)

 小林陵侑(25、土屋ホーム)がノーマルヒル(NH)で金、ラージヒル(LH)で銀メダルを獲得したスキージャンプ男子。エースが世界トップレベルの実力を示した一方で、団体は3位のドイツと飛距離換算で約22メートル差の5位に終わり、“陵侑頼み”が浮き彫りとなった。

 長年にわたり、葛西紀明(49、土屋ホーム)や伊東大貴(36、雪印メグミルク)といったベテラン勢がけん引してきた男子代表。小林陵が2018年平昌大会NHで7位入賞し、18―19シーズンにW杯個人総合王者まで上り詰めて以降は若手が頭角を現した。

 同世代の活躍に刺激を受け、「次は俺たちも」と切磋琢磨してきた中村直幹(25、フライングラボラトリー)と佐藤幸椰(26、雪印メグミルク)。今大会で五輪初出場を果たし、世代交代は進んだ。

 しかし、小林陵以外の個人戦成績に目を向けると、欧州勢との差は歴然。NHは2度目の出場となった小林潤志郎(30、雪印メグミルク)が27位。残る2人は上位30人による2回目にすら進めず、LHでも佐藤の15位が最高成績だった。

 団体戦後、取材に応じた全日本スキー連盟の原田雅彦理事(53)は「反省している。格下の大会でも経験を積ませて、W杯に特定の人だけではなく、たくさんの選手を送り込める強化をしていかないといけない」と危機感を口にした。

 4年後も小林陵が代表の中核を担うのは間違いない。しかし、そのエースの座を脅かす存在が現れなければ1強状態は続く。「日の丸飛行隊」復活のためには、さらなる底上げが必須だ。
(この企画は島山知房が担当しました)

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