駒苫OB木村さんがNPB初のパフォーマンスコーチに 日本ハム・達やパドレス・松井もサポート
2月に西武に新設されたパフォーマンスコーチに就任した駒大苫小牧野球部出身の木村さん=撮影・西川薫
西武に新設されたNPB初の役職
駒大苫小牧高出身で2023年から大阪のジム「BEYOND BASE」を主宰する木村匠汰さん(31、札幌国際大出)が、今季からプロ野球・埼玉西武に新設されたパフォーマンスコーチに就任した。NPB12球団では初めての役職で、これまでにサンディエゴ・パドレスの松井裕樹投手(30)や、プロ入り前の日本ハム・達孝太投手(21)ら多くの現役選手をドラフト前の段階からもサポートしてきた。そんな木村さんの指導者人生の原点とは…。
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前人未踏の領域を行く開拓者
2月のキャンプから西武の練習に帯同。非常勤ではあるが「パフォーマンスコーチという名前で5年くらい活動していて、その形でNPBに入れさせてもらった。今まで誰もいなくて、すごいやりがいを感じるし、こういう仕事でやってきて良かった」。7年ぶりのリーグ優勝を目指す獅子軍団の一員として力を尽くす。
球団から一番に求められてるのは「コーチとトレーナーの間のポジション」として、選手の打撃力向上の一助となることだ。「すごいフィジカルトレーニングをしていて、やっと筋肉量が増えてきたけれど、それをバッティングにつなげるとなった時に、その間になるところが必要。僕がやっているのはそこの動作なので良いんじゃないか」とオファーを快諾した。
ジムにあるトレーニング機器の一部
ジムに通う選手は300人超え
昨年5月、大阪に待望の拠点を構えた。周囲は工場地区で「秘密基地みたいな感じでやっています」。スタッフは木村さんを含めて5人。和歌山大や大阪経済大野球部などにもコーチを派遣。ジムに通う選手は300人を超える。昨秋のドラフトではサポートした藤原聡大投手(22、楽天)、恵庭市生まれの赤木晴哉投手(22、広島)、北海学園大の髙谷舟投手(22、オリックス)、田中大聖投手(24、ロッテ)の4人がプロ入りした。
体の根本から変わる独自メソッド
人気の秘密は独自のメソッドにある。「怪我をせずに楽に出力が上がって、なおかつ再現性も高くなるというところが他にはあまりないところ。楽なのに出力が出ている感じになるところは、うちの強み。体の根本から変わっていくような指導をしている。『すごい楽に球速が上がりました』とか『こんな楽に飛ぶんですか』とか、選手が口を揃えて言う。むしろプロ野球選手の方が元から実力というかスキルがあるけれど、(出力と)繋がっていない選手も非常に多いのでもったいないなという思いで、この仕事にやりがいを感じています」。
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松井にSNSフォローされ最初は…
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21年に初めてプロ野球選手のサポートをしたのが松井投手だ。木村さんは札幌国際大を卒業後、大阪・阪堺病院のトレーニングジム「S.C.A」で4年間修業。そこからステップアップを目指して筑波大大学院に進んだ21年頃からSNSやオンラインサロンでトレーニング講座を開設した。すると、楽天の守護神を務めていた松井投手からインスタのアカウントをフォローされた。最初は「本物かな?」と疑っていたが「8月に京セラ(で試合が)あるので、その前にみてもらっていいですか?」とメッセージが来た。それ以来、今年でサポートは6年目に突入した。
昨年から、広島・栗林良吏投手(29)、阪神・前川右京外野手(22)らのサポートも始まった。「選手が来ていろいろやってパフォーマンスが上がったら、周りも『何でだ?』となるのと、あとSNSの効果ですごい人が増えてきた」。評判が評判を呼び、オンラインサロンの会員数は約550人へと膨らんだ。
ジムの入り口には松井裕樹らプロ野球選手からのサインがズラリと並ぶ
メジャーの最新理論も現地で学ぶ
自らへの投資も惜しまない。23年2月にニューヨーク・ヤンキースのエリック・クレッシーパフォーマンスコーチのジムへ1週間視察した。「すごいメジャーリーガーもたくさん来るんです。どういう取り組みをしているのか知りたくて」。昨オフには松井投手に帯同して日本ハムの達投手も訪れるアメリカのトレーニングジム「ドライブライン」を訪問。トレーナー大国の最新トレーニング理論を学んだ。
指導者を夢見た高校時代からの遍歴
そんな売れっ子コーチの原点は「高校の時に全然上手くなれなかったところから」。駒大苫小牧で過ごした高校3年間でベンチ入りはできなかったが、3年の6月に円山で行われた早稲田実業との招待試合では背番号17をもらった。当初は指導者を夢見て教員を志していたが、経済的理由で一時は諦め、海上自衛隊に入隊するつもりだった。しかし夢を諦めきれず、教員免許を取得できる北海道の私立で学費負担の一番少ない札幌国際大に進学。2年秋には主将を務めることになったが「このまま教員になっても野球の指導ができるかどうか分からないなと。だったらやっぱりトレーナーなのかな」と方向転換。3年時からの2年間で二つのトレーナー資格を取得し、卒業後は大学時代のトレーナーが以前勤めていた縁で、阪堺病院のS.C.Aに就職した。同ジムはプロ野球で初めてS&C(ストレングス&コンディショニングコーチ)を確立した立花龍司氏(61)が主宰しているところで、修業の傍らには和歌山大のトレーニング指導と技術指導も並行して行うなど活動の場を広げていった。
駒大苫小牧出身で大阪・BEYOND BASE代表の木村さん(左から2人目)と札幌日大高出身の木原さん(同3人目)ら敏腕コーチ陣が揃う
エスコンで再会する予定だった達
日本ハム・達とは今も交流がある。出会いは阪堺病院時代。「中1からずっと来ているのを僕も見ていて。去年、エスコンに行った時にSNSに上げたら、達から『僕、今日います。まだいますよ』と連絡が来て、1、2時間後に見たら『すみません帰っちゃいました』と(返信が来て)会えなかったんですけれど(笑)」。サポートする赤木と達は天理高の同期で「仲が良いんですよ。孝太も今度来ると言っていました、赤木と一緒に」。FAで西武に移籍した石井一成内野手(31)とは「僕と同い年なので、結構ずっと喋っているんです。一緒に頑張ろうという話をしています」。
夢の途中
活動の場は国内最高峰となったが、まだ夢の途中だ。高校時代の自らを教訓に「めちゃくちゃ頑張っているのに結果が出ないとか、怪我しましたとか。先にここに来てもらったりすると、そういうことにならない可能性があった選手とかが多分たくさんいて。拠点もどんどん増やしていきながら、うちのスタッフには全国に羽ばたいてもらいたい」。木村さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。
■プロフィール 木村 匠汰(きむら・しょうた) 1994年10月3日、士別市生まれ。士別中では軟式野球部。駒大苫小牧高では外野手をしていたが3年間ベンチ外だった。札幌国際大では2年秋から主将を務め、保健体育の免許とトレーナーの資格を取得。卒業後、大阪・阪堺病院のトレーニングジム「S.C.A」で4年間修業。2021年から筑波大大学院で動作解析の国内第一人者の川村卓教授の下で2年間指導を受け、23年の卒業時に(株)SK Beyondを設立。26年シーズン、埼玉西武のパフォーマンスコーチに就任した。
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