スピードスケート女子団体追い抜きで銅獲得 高木美帆「一緒に戦う仲間がいなければ到達し得ない」【ミラノ・コルティナ五輪】
3位決定戦で勝利し、観客席に笑顔で手を振る日本チームの(右から)佐藤綾乃、高木美帆、野明花菜、堀川桃香=撮影・金田翔
総力戦で3大会連続表彰台
【ミラノ共同】ミラノ・コルティナ冬季五輪第12日の17日、スピードスケート女子団体追い抜きで日本が銅メダルを獲得した。準決勝でオランダに敗れて2大会ぶりの優勝はならなかったが、3位決定戦では米国を2分58秒50で下した。3大会連続の表彰台。
この種目は3人一組で滑り、エースの高木美帆(31)=TOKIOインカラミ、帯広南商高出=、佐藤綾乃(29)=ANA、釧路北陽高出=、堀川桃香(22)=富士急、白樺高出=で臨んだ。3位決定戦には堀川に代わって野明花菜(21)=立大、長野・岡谷南高出=が出場した。高木は「銅」だった500メートルと1000メートルに続く今大会3個目のメダルで、夏季を含めた日本女子最多獲得数を節目の10個に伸ばした。(共同)
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3位決定戦でサブの野明を初起用
総力戦で表彰台を死守した。オランダに惜敗して失意の準決勝から約1時間半。女子団体追い抜きの日本は3位決定戦でサブ登録の野明を初起用し、米国を下した。
記者会見後、銅メダルを手に笑顔を見せる(左から)堀川桃香、佐藤綾乃、高木美帆、野明花菜
最も悔しいはずの高木が一番のガッツポーズで喜びを強調する。「彼女たちができる最大のところまで来てくれた。感謝の気持ちでいっぱい」。ミスも目立った後輩を責めず、自身の滑りを「一番の敗因」と語った。
銀メダルだった前回北京五輪後に主軸で姉の菜那が引退。さらに先頭交代しない戦術への変更が広まり、日本は国際大会で劣勢に回った。22歳の堀川や21歳の野明ら若手を迎え、リーダーとして引き上げたのが最年長となった31歳の高木だ。
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新加入で遠慮がちの後輩を鼓舞
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1月の長野合宿。伸び悩む野明を見て、声をかけた。「金、取るよ!」。新加入で滑りが遠慮がちだった後輩を鼓舞し、プッシュの押され具合が足りないなどストレートに意見をぶつけた。同部屋の宿舎では個人的な相談にも丁寧に答えた。思い入れの深い種目での王座奪還のために、一体感の醸成に心を砕いた。
負担の大きい先頭として、計3レースで隊列を引っ張った。望んだ色ではないが、通算10個目のメダル獲得。「節目をパシュートで取れて感慨深い。仲間がいなければ到達し得ない」。後輩たちと歩んだ証しだった。
3位決定戦で力走する(左から)高木美帆、野明花菜、佐藤綾乃
笑顔と涙、力尽くした銅
日の丸を4人で広げ、〝ウイニングラン〟で喜んだ。女子団体追い抜きの日本はベテランと若手が力を尽くし、3大会連続メダルの「銅」。隊列を引っ張った31歳の高木は笑顔で、21歳の野明は涙をぬぐいながら観客席に手を振った。エースは「常に勝ちに挑んできた結果。メダルを取れた点は誇らしい」と語った。
ただ、お家芸の看板は揺らいでいる。準決勝は終盤に失速した1回戦の反省から出足を抑え、2周目以降は半周14秒台を維持した。「今季の一番いいレース」とウイリアムソン師円コーチ。それでも優れた長距離選手がそろうオランダに最後の200メートルで逆転された。3位決定戦は初出場の野明がスタートと最終周で体勢を崩しながらも、米国の失速に救われた。
女子団体追い抜きで銅メダルとなり、笑顔で観客席に手を振る(左から)高木美帆、堀川桃香、野明花菜、佐藤綾乃
4年で逆風、揺らぐ看板
2018年平昌五輪を制し、決勝で高木菜那が転倒した22年北京五輪も連覇目前だった。世界をリードしてきた立場は、この4年で変わった。先頭交代しない戦術が定着し、個の走力で勝る国が台頭。隊列の同調性で勝負する日本には逆風と言えた。さらに高木や佐藤ら代表チームを離れて活動する有力選手が増え、連係を強化する機会は今後も限られるだろう。
高木は来季以降の活動内容を明らかにしていない。「負けた事実はしっかり受け入れないと」と語る佐藤は今回が最後の五輪。野明や堀川はどこまで成長できるか。復権を目指す道は決して平たんではない。
高木10個目のメダル「感慨深い」
高木は3位に終わった悔しさと充実感の両方を語った一問一答は以下の通り。(共同)
―通算メダル獲得数が10個に到達した
「節目のメダルをパシュートで取れたことには感慨深いものがある。個人種目だけじゃなく、団体種目でもメダルを取ることができている。それは一緒に戦う仲間がいなければ到達し得ない」
―金メダル奪還はならなかった
「初戦は私が足を引っ張った。もう少しいい滑りができたら1位通過で準決勝に行けた。先頭として最大の力を発揮していいレースをする経験値は、この4年間で積み上げられなかった。一番の敗因と思っている」
―追い抜きについて
「初めて世界距離別選手権で金メダルを取れた種目。世界でも戦えるんだと強く思えた瞬間を、今でも鮮明に覚えている。私が世界で戦えるようになったきっかけ、始まりの種目かな」
―1500メートルへ弾みがつくか
「全く関係ないと思っている。目指すところはずっと変わらず3年前から持っている。(3位の)鬱憤を晴らすとかではなく、ただ一点を見つめてレースに挑みたい」
女子団体追い抜きで銅メダルを獲得し、表彰台に上がる高木美帆=共同
佐藤は3色のメダルそろえる
最後の五輪と位置付けている29歳の佐藤は女子団体追い抜きに3大会連続で出場し、金、銀、銅のメダルを一つずつそろえた。高木の背後を滑ることが多く「美帆さんのお尻しか見てこなかった」と報道陣を笑わせ「引っ張ってくれるという信頼感は大きかった」と感謝を口にした。
マススタートなど個人種目を残すが、団体追い抜きでは1回戦から全てのレースに出場し、役割を全うした。今後の主力となるであろう堀川、野明に「コミュニケーションを増やさないと一つになれない種目。大切にしてほしい」とバトンを託した。
女子団体追い抜きで銅メダルを獲得し、表彰台で笑顔の佐藤綾乃=共同
力を出し尽くした堀川
22歳の堀川は女子団体追い抜き準決勝で、最後によろめくほど力を出し尽くした。オランダに敗れ「悔しい気持ちはある」。それでもチームとして3位に入り「メダルを取れたことはうれしい」と穏やかに笑った。
長距離を主戦場とする。高木のスピードに付いていけず「後ろから押せない」と漏らした時期もあった。昨夏に1歳下の野明が加入して立場を脅かされ「もっと頑張らなきゃ」と奮起。高木からは「押せるようになって、後ろから支えてくれるのが心強かった」と成長を認めてもらった。
女子団体追い抜きで銅メダルを獲得し、表彰台で手を振る堀川桃香=共同
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