田中正義 いつもそばで支えてくれた伏見の存在「僕も独り立ちしないと…」 救われた〝神の右手〟
数々のピンチを切り抜けてきた田中(左)と伏見のバッテリー
グラウンド内外で全幅の信頼
日本ハムの田中正義投手(31)にとって、伏見寅威捕手(35)は絶大な信頼を寄せる存在だ。
14日に阪神へのトレードが発表された時は、あぜんとした。「特に入団当初とか去年とか、自分の状態を全部、言っていましたし、本当に助けていただいた。トレードを知った時は言葉にならなかったですね」と当時の心境を明かす。
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2023年1月。春季キャンプ目前に近藤(ソフトバンク)のFA移籍に伴う人的補償で、日本ハム加入が決まった。環境が変わって戸惑いもある中、真っ先に声をかけてくれたのが、その年にオリックスからFA加入した伏見だった。「話しかけてくれたので、助けられました」。同級生の池田とともに、遠征先で食事に誘われる〝伏見会〟のレギュラーメンバー入り。「いっぱいお肉を食べさせてもらいました」。野球のことから、プライベートまで、なんでも相談に乗ってくれた。
3月29日の西武戦、試合を締めくくり、笑顔を見せる伏見(右)と田中
F党の記憶にも残っているあの一戦
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オリックス時代にはリーグ連覇と日本一に貢献。数々の修羅場をくぐり抜けてきた女房役からたくさんのことを学んだ。「プロ野球の厳しさ知った上で出てくる言葉なので、本当に説得力があった」。バッテリーを組んだ時は、必死に食らい付いた。
忘れられない試合がある。「神の右手ですね」。昨年7月13日にエスコンフィールドで行われたソフトバンク戦。1点差の九回を任された田中は、九回1死一、二塁のピンチを背負った。「前日、やられていたんですよ。(同点)ホームラン打たれていて。2日連続やられると、なかなか厳しいので。盗塁を刺してくれて、ファウルチップも捕ってくれて。24年は、あの試合でセーブ失敗していたらどうだっただろうなっていう思いはあります」。伏見が二塁走者・周東の三盗を阻止し、最後は2死一塁の場面でファウルチップを好捕し、試合を終わらせた。SNSなどで〝神の右手〟と話題になったプレーは、今も脳裏に焼き付いているという。
24年7月13日のソフトバンク戦、試合終了後に握手を交わす伏見(左)と田中
さらなる飛躍で恩返しだ!
いつも温かく見守ってくれた先輩捕手の支えもあり、移籍1年目から3年連続で40試合以上に登板。今季もチームトップの49試合に投げ、救援陣に欠かさぬ存在となった。
「いい加減、僕も独り立ちしないといけないですし。でも、感謝の気持ちは消えることはないですね」。その思いは、会った時に本人へ直接、伝えるつもりだ。
4月26日のロッテ戦、試合を締めくくり、安堵の表情を見せる田中(右)と伏見