田中正義 シーズン完走 その裏にあったベテラン左腕・宮西の存在「その言葉で踏ん張れた」
秋季キャンプに参加中の田中=撮影・小田岳史
今季はチーム最多の49試合に登板
日本ハムの田中正義投手(31)が、1軍でシーズンを完走した。ソフトバンクから加入3年目の今季は、チーム最多の49試合に登板し、12ホールド、13セーブ、防御率1.32。守護神を外れ、苦しい時期を乗り越えられたのは、ベテラン左腕・宮西尚生投手(40)の言葉があったからだ。
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苦しい時に支えてくれたレジェンド
オリックスとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦。新庄監督から投手の継投を任された宮西が、2点リード八回のマウンドを託したのが背番号26だった。「900試合投げて400ホールドを挙げている方が、マウンドに上げてくださった。その気持ちに応えたいと思いました」。田中は起用に応え、1イニングを3者凡退に抑えた。
10月11日に行われたオリックスとのCSファーストステージ初戦、八回を無失点に抑えてガッツポーズする田中
シーズン中、折れそうな心をつなぎとめてくれたのもレジェンド左腕だった。開幕から抑えを担ったが、交流戦では救援失敗もあった。苦しい日々が続く中、仙台での練習中に宮西が掛けてくれた言葉が心に響いた。
自分自身に言い聞かせた責任の取り方
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「クローザーを外れた時に、『責任を取りたいんだったら、投げ続けることしかない。投げ続けることでしか責任は取れない』という話をしていただいて、その言葉で踏ん張れたって感じです。交流戦で(チーム状況が)良いときに勝ちを消したりしていたので、責任をすごく感じていた。『投げ続けることでしか取り返せない』というのをいつも自分自身に言い聞かせながら踏ん張りました。とにかく1軍に置いてもらう限りはマウンドに上げてもらってゼロで抑えるということに全力を尽くすと思い続けた1年でした」
チーム最年長の宮西は、昨季前人未到の400ホールドに到達し、今年9月には通算900試合登板を達成。長年、日本ハムのブルペンを支えてきた。いつも後輩たちのことを気にかけ、タイミングを見計らってアドバイスを送ってくれる。「ミヤさんの言葉をとにかく遂行し続けようと頑張りました。それがなかったら(心が)折れていたかもしれないし、感謝しかありません」。
10月12日CSファーストステージ第2戦、試合前に会話を交わす田中(左)と宮西
来年もっと信頼してもらえるように
どんな時も変わらず、声援を送ってくれるファンの存在も大きな支えだった。「苦しいシーズンではあったし、チームに対して申し訳ないって気持ちも強かった。オールスターにも(ファン投票で)選んでもらいましたし、マウンドに上がったら変わらず声援をいつもしてくれたので、それでマウンドに上がり続けることができた。シーズンでもCSでも悔しい思いをしたので、来年はもっと信頼して安心してもらえるようなピッチャーになれるように練習していきたいです」。
頂点に立つと思って臨むシーズン
チームはソフトバンクとの激しい争いの末、あと一歩及ばずリーグ優勝を逃した。悲願の頂点へ、田中は覚悟を決めている。
「今年は過去2年に比べてセーブもホールドも少ないですし、勝って当たり前のチームになっている。勝つのが普通のチームのリリーバーとしては自分は弱いなと感じています。来年も勝って当たり前、優勝をすると思って臨むシーズンに対して、それにふさわしい、勝ちゲームに投げるにふさわしいピッチャーでありたい。今、思っているのは、優勝チームにふさわしいピッチャーになりたいです」。強い責任感を胸に、これからもマウンドに立ち続ける。
秋季キャンプでアップをする田中(中央)
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