宮西尚生 CS激闘で実感したチームの強さ「ベテランもルーキーも関係ない。平等にチャンスがあった」
投手陣と試合前練習から引き揚げる宮西(右から2人目)=撮影・松本奈央
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルS第6戦 日本ハム1-2ソフトバンク(10月20日、みずほペイペイドーム)
CSのベンチ入りメンバーから外れ、帯同しながら後方支援に回った日本ハムの宮西尚生投手(40)が王者のソフトバンクと互角の戦いを演じたチームの強さに言及した。真っ先に挙げたのは、新庄剛志監督(53)がもたらしたシビアな競争原理。最年長左腕が見て感じた進化の理由とは―。
成長でしょ、どう考えても
新庄監督が就任し、状況は劇的に変わった。これまでの常識は一切、通用しない。いやが応でも、意識の変革が求められた。今季が4年目。リーグ最下位から飛躍したチームについて、宮西は「成長でしょ、どう考えても。ボスが4年間、ずっと同じことを言い続けてきて、それが身についている。切羽詰まっても崖っぷちの状況でもシーズン中と同じような野球を続けられたのは大きい」と指摘した。
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選手の起用法が象徴的だった。リリーフに焦点を当てると、シーズン中は役割を固定せず、状態の良い投手を優先的に送り出した。全員が勝ちパターン、ロング、ワンポイントなど、さまざまな仕事を想定。対応力が備わっていたという。
アップをしながらチームメートに声を掛ける宮西=撮影・岩崎勝
緊張で力が出えへんヤツはここにおらん
チーム内の競争が始まると、過去の実績や経験は意味をなさなかった。「正直、結果に関してはベテランもクソもない。経験があるから落ち着いている、安心感があると思われるけど、緊張で力が出えへんヤツはそもそも、ここ(1軍)におらんから。みんな緊張はするし、不安もある。ルーキーでも関係ない。そこでパフォーマンスを出せるか、出せないか」
ある意味、下におるヤツの方が…
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先発も同じだ。CSでは若手の達、福島、古林が抜てきされ、加藤貴や山崎が中継ぎに回った。「誰にでも平等にチャンスがあったわけやから。そこで結果を出した者がつかんでいる。ファームにおってもチャンスがあると思って達とか、1軍に上がったときのためにずっと練習していた。ある意味、上にずっといるより、下におるヤツの方が飢えている。(緊張感が)上にも下にもできたよね」と深くうなずいた。
新庄監督(右)と真剣な表情で会話をする宮西=撮影・宮永春希
CSのプレッシャーはなかったと思う
結果を出し続けなければ、イスは奪われる。危機感と隣り合わせの状況が日常となり「1日で抹消されるときがあるわけやから。そういうプレッシャーにさらされながら4年間、やってきた。正直、CSのプレッシャーはなかったと思う。王手を食らったからと言ってヤバイとか、ない。そんなことと戦っていない。固定メンバーの方がオレらがやらなアカンという責任感があるから、重圧を感じる。シーズン中の戦いと何も変わっていなかった。平常心を保てていた」と結論づけた。
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CS期間中、継投のことなど、監督に意見を聞かれることはあったが、後輩たちのサポートに徹していた。コーチの距離感とは違う。仲間として先輩として選手に寄り添っていた。「基本的に役割としては試合の前後。打たれた選手のフォローをメシ会場でしたりとか。短期決戦は調子が悪かったら使いづらくなる。でも、そこで気持ちが折れてしまったらダメ。そういうときは、自分の失敗例を伝えて、どんな感情だったか話したりしていた」。自身が投げられない悔しさは間違いなく、あった。それでも託された仕事に全身全霊をかけていた。
金村と会話しながら引き揚げる宮西