【オールスター独占手記】田中正義 新たな挑戦によって見いだした可能性 「ファンの皆さんに最高の大航海を」
オールスター用グラブ(ローリングス社)を手に意気込む田中=撮影・小田岳史
抑え部門で3年連続のオールスター出場
「マイナビオールスターゲーム2025」(23日・京セラドーム大阪、24日・横浜スタジアム)にファン投票の抑え部門で選出された日本ハムの田中正義投手(31)が、道新スポーツデジタルに独占手記を寄せた。
ソフトバンクから移籍3年目の今季は、開幕からクローザーを任されたが、ここ最近は勝ちパターンの一角として八回での起用が続いている。新たな挑戦を続ける右腕にとって、ターニングポイントとなった試合とは―。シーズン前半戦を振り返りながら、今の率直な思いをつづった。
ファンの声援に応えたい思いで〝奮投〟
2年連続してファン投票でオールスターに選出していただき、本当にありがとうございます。いつもたくさんの声援を送っていただき、感謝しかありません。
成績が出ていない中でも応援してもらっている、期待してもらっているとすごく感じていたので、なんとかそれに応えたいという思いで、前半戦を頑張ることができました。
オールスター用のグラブ(ローリングス社)とスパイク(ミズノ社)を持つ田中
折れそうになる心をつなぎ留めた球宴選出
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リリーフは、チームの勝敗に直結するポジションですし、責任の大きさも日々感じています。オールスターに選んでもらっていることが、自分の中で折れそうになる気持ちをつなぎ留めてくれていたものの一つでした。
前半戦の途中にクローザーを外れることになり、このままだと1軍の戦力になれなくなっていくなという危機感もありました。このまま終わっていくのか、野球選手としてもう一回り成長できるのか、今が分岐点だなと感じていました。
日々繰り返す試行錯誤
現状のままでは自信をもってマウンドに上がることはできないと感じたので、新しいことにチャレンジしています。球種や投げ方、変化球に対する意識も変えていっています。カットボールを使ってみたり、フォークをスプリット気味に変えてみたり、試行錯誤を重ねている段階です。
首脳陣の方やアナリスト、(伏見)寅威さんをはじめキャッチャー陣など、たくさんの方からアドバイスをもらって、自分の中で整理しながらやっています。自信を持ってマウンドに上がるためには、練習して野球がうまくなるしかありません。
7月19日の楽天戦で試合前に伏見(右)と話す田中
恐怖を振り払ってモデルチェンジ
今までは最大の武器であるストレートがおかしくなってしまうかもしれないという怖さから、ストレートのフォームの延長線上で変化球を投げたいと思っていました。リスクを取ってでも、変化球を軸にした考え方、投げ方を取り入れていく必要があるなと思い、新たな挑戦をしています。
転機となった6月22日の中日戦
自分の中で少し変化を感じたのが6月22日の中日戦(バンテリンドーム)です。
とにかく軌道をストレートに近づけてみようと、試合でカットボールとスプリットを試しました。思ったよりボールの数値が悪くなかったので、この方向性で行けばいいのかなと、一つきっかけになった試合です。
この試合で自分はまだまだ伸びしろがあるなと感じることができましたし、自分の可能性を信じて前向きに練習ができる契機になりました。その試合以降、良い感覚が続いているので、方向性は合っているのではないかなと感じています。
6月22日の中日戦で七回を無失点に抑え、ベンチに戻る田中(右)
リーグ優勝&日本一へ後半戦も全力投球
後半戦もさまざまうまくいくこと、いかないことがあると思います。自分の理想のピッチャー像に近づくため、本当の意味でファイターズの優勝に欠かせない選手になるために、ファンの皆さんに最高の大航海だったと思っていただけるよう全力で腕を振っていきます。
応援のほど、よろしくお願いします。
(北海道日本ハムファイターズ投手)
