【激戦の裏側】守護神・田中正義 笑顔のわけ、マウンドに立つ時に秘める熱き思い
30日のロッテ戦、リードを守り切り、ハイタッチで喜ぶ田中(左から3人目)ら日本ハムナイン=撮影・岩崎勝
30日のロッテ戦で20日ぶりのセーブ
日本ハムの田中正義投手(30)が前日30日のロッテ戦(エスコンフィールド)で、10日の楽天戦(同)以来となるセーブを挙げた。
ソフトバンクから移籍3年目の今季は、守護神を任され、ここまで15試合に登板し、9セーブ、防御率1.88。日々、重圧と戦いながら、過酷なマウンドに上がり続けている。

口を突いて出るのは反省ばかり
抑えが任される最後の1イニングは、勝敗に直結する大事な1イニングだ。現在、チームはリーグ首位を快走中。開幕から2カ月たち、田中は今の心境を吐露する。
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「自分の未熟さというか、もっとプロフェッショナルとして、いろんな面で成長しないといけない、とすごく痛感しています。本当に反省が多い2カ月だったので、強くなりたい、変わりたいという思いでやっています」
20歳の若手右腕からも学ぶ
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27日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)では、支配下登録されたばかりの孫易磊が、3点リードの九回にマウンドへ上がり、プロ初セーブを挙げた。首脳陣の大胆な起用は、田中に刺激を与えたいという思いもあった。
〝台湾の至宝〟と称される20歳のピッチングは、気持ちを揺さぶるものがあった。「イーレイのマウンドさばき、度胸、気持ちの強さは本当に素晴らしい。素晴らしいというか、見習わないといけない。イーレイの目というか、魂は見ていて感じるものがありますね」
27日のソフトバンク戦でプロ初セーブを記録した孫易磊
ブレない姿勢 「理想を逃げずに追いかける」
ホールドを記録した25日の楽天戦(楽天モバイル)から、田中自身にもある変化があった。以前より、マウンドで感情を表すようになった。「笑って投げるのも、賛否評論あると思う。あれが一番パフォーマンスが出ると思うので、一生懸命やった結果です」。どんなに苦しくても、絶対に逃げないと心に決めた。
「マウンドに上がっている時は〝ファイターズのクローザーは自分だ〟と思って投げている。もう1回、しっかり見つめ直して、自分の理想を逃げずに追いかけていかないといけない。人生一度きり。その中で僕ができるのはいい準備をすることしかない」
心がけるのは万全の準備
後悔しないため、準備は怠らない。「今、意識しているのは、とにかくいい準備をすることしかできないので、それに徹していきたいなと思います。これ以上できることはないと思って、マウンドに上がれるように。いい準備をしていこうって」と言葉に力を込める。
30日のロッテ戦、九回2死一塁、ロッテ・ポランコ(右)を打ち取り、試合を締めた田中
「抑えた瞬間から次のゲームは始まる」
30日のロッテ戦では、18日の同戦で九回に同点弾を浴びたソトを二飛に仕留めるなど、リベンジに成功した。ゲームセットの瞬間は、笑顔をのぞかせたが「シーズンが終わるまでホッとすることはない。抑えた瞬間から次のゲームは始まっているので、ホッととかはないですけど、準備の連続かなと思います」と表情を引き締める。
しびれる戦いは続く。それでも、田中正義は逃げずに立ち向かっていく。