旭川志峯が劇的逆転勝利で現校名初の聖地に王手 白樺にリベンジだ【北北海道大会】
八回2死三塁、旭川志峯の億貞が一ゴロをヘッドスライディングで適時内野安打とし、勝ち越しに成功した=撮影・松本奈央
■全国高校野球選手権北北海道大会第5日(7月21日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 帯広大谷1-2旭川志峯
終盤に魂の内野安打で勝ち越し成功
旭川志峯が伝統の「気合と根性」で、わずか2球で試合をひっくり返し、2023年春の校名変更後、3季通じて初の決勝に駒を進めた。0-1で迎えた八回2死二塁。2番・上田翔也右翼手(3年)が中前に同点打を放ち、送球エラーで三塁へ進むと、続く3番・億貞壮汰遊撃手(2年)が初球を一、二塁間への内野安打を放って勝ち越し。息詰まる投手戦を制した。決勝の相手は昨夏の準決勝で七回コールド負けした白樺。リベンジを果たし、旭川志峯の校名としては初の甲子園出場を成し遂げる。
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八回2死三塁、打球が一、二塁間へのゴロとなり必死に一塁へ走る旭川志峯・億貞
一塁へのヘッスラで間一髪セーフ
億貞が一振りで決めた。一塁手からのボールを受け取った相手投手と一塁ベースへの競争になったが、左手を目一杯伸ばしてヘッドスライディングし、間一髪セーフ。「しっかり自分の足で1点をもぎ取りました」。味方ベンチへ向かって、何度もガッツポーズを繰り返した。
七回までは、帯広大谷のエース泉映甫投手(3年)の前に散発3安打に抑えられていた。先制された直後の六回、先頭を四球で出塁させたが、2人続けて犠打を失敗。続く七回にも無死一塁で犠打失敗。ベンチもなんとか突破口を開こうと仕掛けたが、思うような攻撃ができないでいた。
八回の前に「気合と根性!」とゲキ 一発成功の犠打で相手に重圧も
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空気が一変したのは、八回の攻撃前。ベンチ内に山本博幸監督(45)から「気合と根性!」とゲキが飛んだ。すると、先頭の中村寧央(2年)が死球で出塁。続く宝泉玄投手(3年)が1球で犠打を成功。指揮官は「やっぱり流れってあるので、ファウル、ファウルで成功よりも、一発目でボンって決まったら、よしってなる。相手に対してプレッシャーを掛けられたんじゃないかな」。劇的逆転劇へのお膳立てが整った。
「諦めなかったから勝てた」
殊勲の同点打は、六回に犠打を失敗していた上田のバットから飛び出した。打球の行方を確認し、「(相手が)捕った時とランナーを見た時にギリギリ(のタイミング)だったので、中村が何とか(ホームまで)行ってくれて良かった。ミスも含めてやるしかないなっていう気持ちでした。気合と根性で最後まで諦めない心が大事になってくると、ずっと自分たちでも言っていたので、諦めなかったから勝てた試合だった」と振り返った。

2年生内野手だけで特守を敢行
スタメン9人中4人が2年生。なかでも億貞は、1年夏から主軸を任された。去年は右も左も分からない中、がむしゃらにプレーしていたが、立場が変わり、「自分たち2年生で負けていられないので、そういうプレッシャーはありますね」。重圧をふり払うために、捕手の松本琉葦(2年)を除く、中村と村田敏泰二塁手(2年)の3人で特守を繰り返し、少しずつ自信をつけてきた。
決勝で負けたのは過去に一度のみ
決勝では無類の強さを発揮する。過去11度の決勝進出で、負けたのは一度のみ。1993年から8連勝中で、97年には現役時代の指揮官もエースとして甲子園に出場している。2015年からは部長として3度聖地を経験し、22年の甲子園後に現部長の端場雅治前監督(56)からバトンを受け取った。「私はまだ(監督としては)素人の3年目の新人なので、自分にはあまり関係ないかな。ここまで来たら、気合と根性しかないと思っているので、どこまでついていけるかっていうところで戦いたい」。厳しい練習を毎日繰り返し、少しずつ積み上げてきた選手の力を信じて、勝利のタクトを振ることに集中する。
北大会の決勝進出を決めた旭川志峯ナイン
OBの沼田に憧れて入部した億貞
億貞は校名変更前だった旭大高時代の18年に、沼田翔平(25、ヤクルト)がエースとして出場した甲子園での活躍に憧れ、中学時代に他の高校からも声が掛かったが、初志貫徹で入学を決意した。「校名が変わって、甲子園に行っていない山本監督を甲子園に連れて行くって、チームメートと話してました」。昨年のリベンジを果たすため、初のエスコン決戦へ挑む。
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