白樺が連覇に王手 1番・上一颯主将が全4打席出塁 リードオフマンが掲げる役割【北北海道大会】
一回無死、白樺の先頭打者・上(右)が中前打を放つ=撮影・中島聡一朗
■全国高校野球選手権北北海道大会第5日(7月21日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 士別翔雲3-12白樺
※七回コールドゲーム
一回に先頭打者で出塁し先制ホーム
まさにチームを勢いを加速させる〝速攻〟だった。一回、白樺の1番・上一颯(いっさ)主将(3年)がカウント1-1から、士別翔雲の最速145キロ右腕・大橋広翔投手(3年)が投じた116キロ変化球を捉えた。鮮やかな中前打で出塁すると、犠打と安打で三塁まで進み、4番・冨澤悠斗外野手(3年)の犠飛で先制のホームを踏んだ。「攻撃が始まって、すぐ出塁することによって、チームに流れが生まれますし、結果として1点を取れたのは良かったと思います」(上)。
得点の入った回には毎回出塁
三回1死一塁、二盗を決める白樺の上(右)=撮影・小川泰弘
その後もチャンスメークは上から始まることが多かった。6得点のビッグイニングをつくった三回も1死から上が四球を選んだことが始まりだった。しかも、2ストライクから四球を奪ったことで、相手投手に結果以上のダメージを与えた。四回にも先頭で四球を選び、生還を果たした。4打席で1安打3四球3得点と、リードオフマンとしてこれ以上ない働きを見せた主将に、亀田直紀監督(38)もうなづく。「上、川島が出ると、つながりが出るので、チームのキーマンですね。彼らが働いてくれないと、勝てるものも勝てない」。3番・川島陽琉(はる)外野手(3年)と共に、連覇へのキーマンとして名前を挙げた。
好投手からの一打でチームに勇気 「振りに行くときは…」
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1番打者は一回に必ず先頭打者として打席を迎える。第1打席の結果次第で、チームの士気に影響を及ぼす。安打や四球で出塁し、チームに活気を与えることもあれば、相手投手に球数を投じさせて情報を持ち帰ることも求められる。大胆さと慎重さが一番求められる打席となるが、共に中途半端な打席にならないよう心掛ける。上は「張ってる球が来たら思い切って打ちに行く。相手のピッチャーの傾向にもよるけど、出塁するために(ボールを)見るところは見て、打ちに行くところはしっかり打ちに行く。早いカウントで打たされるのが一番もったいないので、(バットを)振りに行くときはしっかり振る」。この日の第1打席、思い切りの良さで記録した中前打は、好投手と相対するチームに勇気を与える一打となった。
三回2死二塁、白樺・川島の適時打で生還した上(左)=撮影・松本奈央
秋の支部予選敗退で新主将に就任
新チームのスタート時は大西遥斗捕手(3年)が主将を務めていたが、秋の十勝支部予選で敗退し、上が新たにキャプテンへと就任。「大西が秋まで一番きつい思いをしていたと思う。そこに代わって自分が入るからには勝てるチームをつくらないと代わった意味がない」。昨夏の甲子園、昨秋の十勝支部予選は共に1点差で惜敗した。「1球の怖さを一番感じている代」(上)。冬の強化練習で部員に甘えが見えた時には厳しく叱咤。元来、「厳しく言えない」タイプだったが、勝てる集団へと変貌させるため、自分の中での妥協を一切取り除いた。
決勝進出も次勝てなければ意味なし
2年連続の甲子園へ、あと一つ。上はより一層、気を引き締めた。「決勝まで来ても甲子園を決めないと、ここまで来た意味がなくなってしまう。きょうの試合でも課題はたくさん出たと思うので、もう一回、チームを締めて、あした(の試合)に入れるようにしたいです」。上一颯キャプテンが、そのバットとリーダーシップで、チームを再び甲子園の舞台へと導く。
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