目指すは札幌南定時制からのプロ入り 北海学園大準硬式の147キロ右腕・高橋舞士投手が北海道選抜に選出
北海学園大準硬式の高橋舞士=撮影・西川薫
14日開幕の全国大会に出場
北海学園大の高橋舞士(まいと)投手(3年、札幌南定時制)が11月14日から香川県で開催される全日本大学準硬式野球連盟主催の「9ブロック対抗準硬式大会」に出場する北海道選抜に2年連続で選出された。
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今年は春季リーグ戦で優勝し、8月に札幌で行われた全日本選手権にも出場と勢いに乗っている。3チームによる予選リーグを勝ち抜けば、決勝トーナメントに進出。ワイルドカードによる1チームを加えた4チームで準決勝、決勝が行われる。昨年は予選リーグで1勝1敗となり、決勝トーナメント進出を逃しているだけに「とにかく、全部勝つ」と気合十分。狙うは北海道選抜の初Vだ。
紆余曲折の末に…
異色の経歴だ。札幌平岸中まで軟式でプレー。投手一筋だったが「ずっと弱小で」と、全道大会などの出場はなかった。公立校の受験に失敗し、甲子園に春夏通算7度の出場を誇る札幌第一へ進学した。だが「練習がきつそうだったんで」と野球部には入部しなかった。
北海学園大準硬式の高橋舞士=北海学園大準硬式野球部提供
そして1年冬、「別にいじめられたとか、問題を起こしたとかではなく、合わなかったっていうか。自分がちょっと変わってたっていうか、すごい気にしいで」と不登校となった。ある日、自宅近くのバッティングセンターで札幌南高に通っていた中学時代のチームメートと再会した。「札南の定時でやれば?」と声をかけられ、2年の夏頃に札幌南の定時制に転校した。「離れたら、めちゃくちゃやりたくなった」と再び白球を握った。当初は全日制の野球部の練習にも参加していたが、途中から定時1本に絞った。全体練習は、授業が終わった後の午後9時から10時まで1時間。主に自主トレが中心。ここで札幌南の「頭で考える、自分で考える野球」が身に付いた。
神宮のマウンドも経験
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3年夏には全国高校定時制通信制体育大会の全国大会に連合チームで出場。初戦の会場は大学野球の聖地・明治神宮球場だった。「その年、神宮でプレーできるのが、自分たちの初戦と確か決勝だけ。その2回の一つに当たったんで、めちゃくちゃ運良くって感じ」
野球人生で初めての全国大会。初戦で敗れたが、高橋は中継ぎで3回を投げた。「マウンド、めちゃくちゃ硬かったですね。全然(スパイクの)歯が刺さんないし。黒のスパイクで行って、もうめちゃくちゃ足が燃えるように熱くて、とにかく暑かったっすね。野球をやめなくて良かったと、めちゃくちゃ思いましたね」。高校生活の最後に、最高の思い出を刻んだ。
高橋投手の投球フォーム(本人提供)
サイ・ヤング賞右腕から学ぶ
北海学園大への進学は、チームメートの盛優輝投手(3年)から「学園大の準硬式が強いらしいし、おもろいから。硬式ほど、バリバリきつくもないから、やってみない?」と誘われて決めた。練習は月、水、金の午前中。指導者は不在だ。「やらされる野球よりも、やる野球の方が好きっていうか、自分で調べたりとかするんで、それで理論とかをすぐ実践できるのがいい」
高校時代の最速は140キロ程度だったが、サイ・ヤング賞右腕を参考にし、成長した。今季、DeNAに復帰したバウアーの動画を見て体の使い方を学んだ。「もともとスピードピッチャーになりたいっていうのが、ちっちゃい頃からあった。やっぱスピードが一番、評価される。目に見えて評価されるんで、そこを伸ばそう」。コツコツ続けたウエートトレーニングの成果もあって、2年の秋頃からフォームが安定。雪解けとともに、球速が一気にアップした。今では最速147キロを計測する。
北海学園大準硬式の高橋舞士=北海学園大準硬式野球部提供
高い志を胸に 「目標はずっとそこ」
10月23日のドラフト会議では、同校の硬式野球部から3人がNPB入りした。さらに23年のドラフトで、明治大準硬式出身の高島泰都投手(25、滝川西)がオリックス入りするなど、近年は毎年のように、準硬式出身者がNPB入りを果たしている。
「行けるなら、行きたい。ずっと目標はそこなんで。一番高いメジャーリーグとかでやれるならっていうか、目標はずっとそこで。そこに行くためにずっとやってる」。右肩上がりの成長曲線を描き、1年後のドラフト戦線に躍り出る。