田宮裕涼 〝秘密特訓〟の中身とは? 山田コーチも認める成長 シーズン中の悔しさが原動力に
ノックを受け、送球する田宮=撮影・桜田史宏
■秋季キャンプ(11月5日、エスコンフィールド北海道)
F党も気になっていたはず
日本ハムの田宮裕涼捕手(25)が〝秘密特訓〟を敢行している。全体練習が終わると、同じ捕手の進藤とともにベンチ裏へ。グラウンドでチーム打撃、特守が行われている中、自身の課題と向き合っている。
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その一端を本人が明かした。「ファンの皆さんは見られないかもしれませんが、裏で秘密の特訓をしています。キャッチングの練習です。いつもの行程後、キャッチャーが(外に)出てこないのは裏でずっとやっているからです。(投球)マシン(のボール)をずっと受けたり、キャッチングのドリルをやっています。実戦がないので、それに近いものではマシンの球を受けるのが一番練習になる。シーズン中は数多くできないですけど、今はできるので。練習だからこそ思い切りできることもあります」

ソフトバンクの海野を意識
担当の山田バッテリーコーチは、意図をこう説明する。
「秋のキャンプのテーマは(ソフトバンクの)海野と田宮の差というところで。アナリストから情報をもらって、フレーミング、キャッチングの差を埋めて、改善していく。ハッキリ数値が出ているので、進藤を含めて改善していこうと思います」
激戦続きで身も心も…
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シーズン中の悔しい思いが、田宮を奮い立たせている。優勝争い佳境となった8、9月。スタメンマスクをかぶる機会が多かった。「いやあ、きつかったですね。頭と心が、体というか…。一応、寝られてはいましたけど。爆睡はできなかったですね」
デーゲームの日は、朝8、9時から田宮と山田バッテリーコーチ、相手打者の分析をする植村スコアラーとミーティングを行っていた。「毎日していましたね。毎朝(ミーティング)して試合」。その繰り返しだった。
山田コーチ「ものすごく良い方向に行く」
山田コーチから「おまえから褒めてやってくれ」と頼まれ、〝橋渡し役〟を担っていたのが今季から1軍でチーム付きスコアラーを務める植村さんだった。田宮にとっても、2軍での下積み時代にお世話になったスタッフ。「2軍にずっといる時から、ブルペン捕手とかで見てくれていた。ずっと昔からやっているので、なんでも話しやすい」と支えになっていた。
日々、頭をフル回転させて投手陣をリードする背番号64を、山田コーチも温かく見守っていた。「使う監督もすごいし、認めさせている田宮も成長しているんだなと。終盤は、ほぼ試合中は全部、任せた」。日に日に頼もしくなっていく姿に「終盤1カ月、負けたら終わりというのはすごかった。あの何試合かがCS(クライマックスシリーズ)にもつながったと思う。負けたけど、優勝争いでキャッチャーをした経験がものすごく良い方向に行くのではないかと僕個人として期待しています」
シーズン中に山田コーチ(左)からアドバイスを受ける田宮
この経験を来季へ
田宮は言う。「シーズン中の試合が、ほぼCSみたいな感じだった。それがあってCSは落ち着いてできたと思います。優勝できなかったのは悔しいですね」。ヒリヒリする戦いを経験できたのは、何よりの財産。来季のさらなる飛躍につながっていくことだろう。
