【月刊コンサドーレ11月号】高木駿インタビュー「5年先も、その先も」《赤黒の肖像》

25日の発売前に途中までお見せします
道新スポーツデジタルでは、毎月発行されている「月刊コンサドーレ」の記事の中から一部を抜粋し、発売に先がけて公開します。今回は10月25日に発売される11月号からGP高木駿(36)のインタビュー「赤黒の肖像」を抜粋。記事の途中までですが、購入前の参考になれば幸いです。
高木駿が語るキャリアと理想
「やっとサッカー界が自分のスタイルに追いついてきた」──そう笑うのは、北海道コンサドーレ札幌の守護神・高木駿だ。プロ14年目、36歳を迎えた今も衰えを知らず、むしろGP(ゴールプレーヤー)としての存在感を増している。移り変わるサッカー界のトレンドを追い風に、年齢を重ねながらも“成長”を実感する日々、その根底にあるものとは。
小柄でも輝ける時代に
―今年5月で36歳を迎えました。プロキャリアは14年目に達しています。
自分が何歳までプロでやれるのかといったことは、若い頃はまったく考えたことがありませんでした。GPは経験値が物を言うポジションであるとサッカー界では浸透していますし、自分よりも年上の先輩たちと一緒にプレーすることが多かったせいか、30歳を超えてからも年齢を意識したことはなかったですね。そして一昨年、コンサドーレに移籍したら、40歳に差し掛かろうとするスゲさん(菅野孝憲選手)がバリバリやっている。ですから36歳になった今でも、自分としては「まだまだこれからだな」という気持ちでプレーしています。
―サッカー自体の戦術トレンドは頻繁に変化し、とりわけGPのポジションは、この10~15年で求められるものが激変したと思います。
本当にそう思います。特に近年ではどのチームもGPから短くパスをつないで攻撃を開始し、ビルドアップの中でGPが重要な役割を担うようになってきました。求められるものが年々、増え続けているポジションだと感じています。
―高木選手が川崎フロンターレでプロになった2012年頃は、身長199センチのクルトワ(レアル・マドリード)、196センチのチェフ(元チェコ代表)といった、ビッグセーブでピンチを救う長身GPが主流だったかと思います。
そうでしたね。一方で僕はGPとしては長身ではなく、プレーもどちらかというと攻撃寄り。パスの配球で攻撃に厚みを持たせるのが武器でした。周りの中では異端児ですね。プロ入り時も「後方からパスをつなぐサッカーを目指している」という理由で幾つかのチームから声を掛けていただきましたが、それでもやはり当時はまだまだGPがビルドアップに加わるのではなく、DF陣が配球役となり、GPはとにかくしっかりゴールを守るというスタイルが一般的。でも仕方がないですよね。当時はまだそれが主流であり、自然な形でしたから。
―それが現在では、GPから細かくパスをつないで攻撃を開始し、GPが高いポジションでプレーすることが当たり前になっています。
率直に言わせてもらうならば、「やっとこういうサッカーができる時代になったか」と思っています。プロ入り当時はとにかくデカくて守れるGPが重用されていて、それだと身長181センチの自分はなかなかかないませんでした。GPとしては小柄ですから。でも、GPにも足下の技術やパス能力が求められる時代になると、僕のようなタイプのGPも存在感を示せるようになる。実際にどうかは別として、パスをつなぐスタイルのGPとして自分は日本でナンバーワンだと思ってプレーしていますし、戦術のトレンドが変化したからこそ僕がこの年齢でもプロで続けられているのかもしれません。日々の練習をしていく中でも「自分はまだまだ成長できる」と手応えを感じています。年々、やりがいが増しています。
スゲさんを目標に、まだ延長戦は続く
―つまり、今後もまだまだ高木選手のプレーを長く見られるということですね。
そうありたいですね。とりあえず、あと5年は現役でプレーしたいと思っていますけれど。
―その5年という数字はどこから?
スゲさんが今41歳なので、僕もその年齢になるまでは頑張って続けたいなと思っているんです。なので、スゲさんが42歳になったら僕は少なくともあと6年。スゲさんが43歳になれば、僕はあと7年という感じで(笑)。
―いずれにしても、充実していることが伝わってきます。
それはその通りですね。「やっとサッカー界がオレのスタイルに追いついてきた!」と実感しながらプレーしていますから。というのは冗談ですが(笑)、僕はプロ入り当初から、今は当たり前となったGPからパスをつないでいくサッカーがやりたいと思い描いていました。それが今では毎試合、「もっといいパスコースがあったかもな…」と攻撃面での改善点を見つけながらプレーできる、本当にやりがいがあります。
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■プロフィール 高木駿(たかぎ・しゅん) 1989年5月22日生まれ、神奈川県出身。身長181センチ、体重76キロ。東京ヴェルディのジュニアからユースへ進み、明治大に進学。ユニバーシアード代表として世界大会優勝を経験した。2012年に川崎フロンターレでプロのキャリアをスタート。14年にジェフ千葉へ期限付き移籍し、ここでリーグ戦31試合に出場するなど実戦経験を積む。16年に川崎へ復帰後、翌年大分トリニータへ完全移籍し、守護神として長くチームを支えた。23年夏に北海道コンサドーレ札幌へ完全移籍。豊富な経験と安定感で守備の要に。責任感が強く、試合外での準備や姿勢も含めて信頼されるGPだ。