甲子園春夏5度出場の古豪・苫小牧東が28年ぶりの全道切符【秋季室蘭支部】
28年ぶりの全道大会進出を決め、喜ぶ苫小牧東ナイン=撮影・西川薫
■秋季全道高校野球室蘭支部(10月2日、苫小牧・とましん)
▽Aブロック代表決定戦 苫小牧東4-3浦河
全道は2回戦で立命館慶祥と対戦
〝ガタ高〟の愛称で親しまれる苫小牧東が、昨夏の支部初戦でタイブレークの末に敗れた浦河に4-3でリベンジ。選抜甲子園出場を射止めた1997年秋の準優勝以来となる全道切符を手に入れた。試合後には札幌市内で12日に開幕する全道大会の組み合わせ抽選会が行われ、13日の2回戦で立命館慶祥と対戦することが決まった。
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先輩たちのためにもうれしい勝ち方
古豪が復活の凱歌だ。1点差に迫られた九回2死満塁。一打サヨナラのピンチが続いていたが、最後はエース藤川晴矢(2年)が遊飛に打ち取りゲームセット。「9番・二塁」で先発出場した今野和雄主将(2年)は四回と六回に2本の適時打で3打点をたたき出し、「先輩たちも浦河に逆転負けして全道を逃した。そういう面では一番うれしい勝ち方ができた」と声を弾ませた。
右翼芝生席の全校応援を背に力投した苫小牧東の藤川
全校応援を背にリベンジ
苫小牧東の校舎はとましん球場の左翼後方に位置。大会中には歓声が風に乗って教室まで聞こえてくる。今野は「先輩方の負けた姿を見てきてたので、そういう時に(他校の)歌が流れてたりすると。やっぱちょっと心残りはありますね」。この日は、右翼芝生席で全校応援が声援を送った。「全校応援で集中もできたし、力になって打つことできた」。勝利の校歌を歌い終えると、ナインは応援席に向かってガッツポーズして駆け出した。
右翼芝生席で声援を送った苫小牧東の全校応援
負けない、我慢の野球がテーマ
3季通じても全道規模の大会出場は、2015年の南北海道大会以来。OBで16年に母校に赴任した前川護監督(48)にとっては、初の支部代表。「新チームになってから、ずっと負けない野球、我慢の野球をテーマにしてやってきた。試合開始の時も何点取るか分からないけど、1点差で勝つんだよって話をしてきて、それを最後まで全員でやりきってくれた。まずはひとつ、やりたい野球ができるようになったので、生徒がすごく頑張ってくれた」と、目を細めた。
他界した義母が背中を押してくれた
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先月27日には妻の母・臼井ゆき子さん(75)が他界。試合後、「野球大好きな母で応援してくれて、なんとかこの全道の知らせを間に合わせたいなと思ったんですけど、間に合わせることができなくて。でも最後、背中を押してくれたのかなって、帰って勝利の報告をしたい」と目を潤ませた。
苫小牧東の前川監督(右)
子供たちとの交流事業「ガタパーク」
いまでは敬愛を込めて〝ガタ高魂〟や〝ガタ高プライド〟と生徒らが呼んでいるが、指揮官によると、昔はかつての校舎がガタガタだったことから、蔑称を込めて呼ばれていたという。20年からは地域の未就学児童を対象に、野球部員が手ほどきする交流事業に「ガタパーク」という名前をつけるぐらい、同校を象徴する愛称となっている。ガタパーク発案者の前川監督は「子供たちを相手にしてることで、生徒たちがすごく大人になっています。公式戦が土日だと、ガタパークの子供たちが来て、バックネット裏で声をかけてくれたり、負けた試合には、年少さん、年中さんの子たちが悔し泣きしてるのを見ていた。かっこ良いところを見せたいって選手たちが言っていたので、背中を押してもらえたかな」。今度はプレドの大舞台で、小さなファンにかっこ良い姿を見せる番だ。
チャレンジャー精神で一戦一戦
全道大会に出場する20校中、公立校が8校。選抜甲子園の21世紀枠候補選出の条件の一つである都道府県大会での32強はクリアした。前回選抜出場の1998年当時、前川監督は中京大の学生として母校の愛知合宿時にチームをサポートした。勝ち進めば春夏通算6度目の聖地が近づいてくるが、「どこと当たっても、チャレンジャー精神で思い切ってぶつかっていくだけ」とキッパリ。エース藤川も「(他のチームに)全然負けていないと思う。自信を持ってやっていけば勝てるんじゃないかと思っているので、一戦一戦、頑張っていきたい」。雑念は捨て、目の前の勝利を積み重ね、可能性を切り開いていく。
苫小牧東は接戦を競り勝ち、28年ぶりに秋の全道切符を手にした
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