山県秀 決勝犠飛 バットに乗せた「若さん」への気持ち テレビで見ていた憧れの人は優しかった
八回無死一、三塁、犠飛を放つ山県=撮影・井上浩明
■パ・リーグ24回戦 日本ハム4-3ロッテ(9月28日、ZOZOマリンスタジアム)
日本ハムの山県秀内野手(23)が、3―3の八回無死一、三塁の場面で決勝の左犠飛を放った。粘りを見せた一打には、お世話になった先輩への感謝の思いが詰まっていた。
「追い込まれてどうしようかなって…」
絶好の勝ち越し機で迎えた打席。1ボールから2球目にバントを試みたがファウル。次の球を見送ったが、4球目を打ちに行ってファウルとなり、2―2と追い込まれた。「セーフティースクイズ(のサインが)出ていて、1個ボール球をやってしまって。いい感じにカウントが整ったんですけど、追い込まれてどうしようかなって…」。それでも冷静だった。
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続くボール球を見極めてフルカウントとなり、最後は8球目の直球をレフトへ。「横尾(打撃)コーチから打てないのが当たり前だから考えて打席に入りなって言われて。考えた結果、インローの見逃し三振が頭にあったので、インロー真っすぐ来そうだなって(打ちに)いったらレフトフライになってくれました」と安堵の表情を浮かべた。

「かわいがってもらったので感謝の打点です」
21日のロッテ戦以来、6試合ぶりの先発起用。ある思いを胸に、試合に臨んでいた。「きょう若さんが引退試合だったので。若さんにすごいかわいがってもらったので感謝の打点です」。この日、鎌ケ谷では現役引退を決断した若林晃弘内野手内野手(32)のラストゲームが行われていた。
寂しい気持ちと、まだまだやってほしい気持ちが…
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9学年上の先輩は、山県にとってテレビで見ていた人だった。中学生の頃、巨人で活躍する若林に憧れを抱いた。「ずっとジャイアンツ(戦)を見ていて。開幕スタメンで出ていて、大ブレークした年だった。テレビで見ていた憧れの人。(プロに)入った時もファイターズに若林さんがいるって! それで、若さんに何回かご飯にも連れて行ってもらって。本当にかわいがっていただいたので寂しい気持ちと、まだまだやってほしい気持ちがあったんですけど。若さんが決めたことなので、8年間お疲れさまでしたって感じです」
八回無死、一、三塁、犠飛を放った山県=撮影・松本奈央
2月春季キャンプで「大変お世話になりました」
今年のルーキーで、野手は山県ただ一人。不安もあった2月の春季キャンプ、プロのイロハを教えてくれたのも若林だった。「内野の守備とか、バッティングとか全て聞いていました。一緒にバッティングやったときはバッティングの話をすごくしてくれましたし、大変お世話になりました」。親身になって寄り添ってくれ、キャンプ地の沖縄・国頭でご飯にも連れて行ってくれた。
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8月に2軍落ちした際にも、食事に誘ってくれ、励ましの言葉をかけてくれた。「『もう1回1軍あると思うから、しっかり準備しておけ』と言ってくださって。その言葉通りに1軍に(再昇格)。本当に若さんには感謝しかないです」。右の左も分からないプロ1年目。素敵な先輩たちとの出会いが、山県の大きな支えとなっていた。