花園全国一番乗り 立命館慶祥が王者・札幌山の手にダブルスコアで大金星【高校ラグビー南北海道大会】
就任3年目で自身初の南北海道大会優勝を果たし、胴上げされる立命館慶祥の髙島監督=撮影・西川薫
■全国高校ラグビーフットボール大会北海道予選(9月28日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽南大会決勝 札幌山の手14-33立命館慶祥
3年かけて展開ラグビーを構築
立命館慶祥が3連覇を狙う王者・札幌山の手から大金星を挙げ、3年ぶり2度目の花園出場を決めた。前半2分に右のラックから左に展開してLW松橋佑朔(3年)が先制のトライを奪うなど3連続トライで主導権を握ると、19-14と1トライ差まで追い上げられていた後半17分に、再び松橋が50メートルの独走トライで突き放した。3年前の花園初出場で敗れた後に元キヤノンの髙島忍監督(33)が就任すると、基礎から徹底的に鍛え直し、3年間かけて展開ラグビーを構築。3年生は入学後、公式戦で一度も勝つことができなかった相手に最後の最後で悔しさを晴らした。
立命館慶祥は新監督就任後の3年間では初めて公式戦で札幌山の手から勝利した
自分たちの形で勝ち切れた
ノーサイドを告げるホイッスルが響き渡ると、それをかき消すような大歓声がスタンドからピッチのメンバーに降り注いだ。SO田尾公謙主将(3年)は「いろんなことを思ったけど、まずは勝ててホッとした。自分たちのアタック、自分たちの形で最後、勝ち切ることができたので本当にうれしかったです」。年末の大舞台へ、全国一番乗りを決めた。
50メートル6秒04の快足生かし
後半17分、立命館慶祥のLW松橋(手前)が50メートルの独走で自身2本目のトライを決める
5点リードの後半17分。1トライとコンバージョンキックを決められれば逆転される勝負どころで、50メートル6秒04の快足ウイングが札幌山の手陣内を切り裂いた。ハーフウェイ付近で左に持ち出すと、「絶対いける!」とスペースを発見。そのまま50メートルを独走した。「ギャップをついて、自分ならいけるって信じてました。本当にここに懸けてきた。(高校に)入ってから3年間、ずっと負け続けてきたので、きょう本当に勝ててうれしい」。後半は札幌山の手に得点を許さず、ダブルスコアの大差で圧勝した。
髙島監督が基礎から徹底的に大改革 どんどんアタックした方が面白い
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胴上げで宙を舞った髙島監督は「高校生はやっぱり展開して、どんどんアタックした方が面白い。これはプロでもそうですし、やっぱりラグビーやってるからには、どんどんアタックして、どんどん展開して、最後にトライを取りきる。これがラグビーの良いところですし、今の日本代表もそれを目指してやっている。大きい相手に小っちゃい相手が勝つのは展開していくしかない。そのあたりは本当に良かった」。
理想のラグビーを実現したが、就任当初は戦略・戦術以前の問題だったという。「ハンドリングであっても、ここ(胸)にちゃんとボールが来ないとか、投げてもミスが起きるとかが多発していた。徹底的にハンドリングのスキルから。必ずここ(胸)にボールが来て、しっかりラインを上げていくっていうことを本当に毎日やっていたんです」。雪に閉ざされる冬は、野球部の室内練習場を借りて約40人の部員がぎゅうぎゅうになって練習することもあった。
戦況を見つめる立命館慶祥の髙島監督(中央)
飯食ってスキル、飯食ってスキル
技術の底上げと体づくりにも着手。2年前の秋にバックスのコーチが就任。「そこからバックスのレベルが上がった」と田尾主将。さらに指揮官は昨年からキヤノン時代の人脈を使って、早稲田大のストレングスコーチと連携。「科学的に分析されているトレーニングだったり、どういう食事をしたら良いかとか、どういうトレーニングが良いかとかっていうところを高校2年生ぐらいから一緒にやってきて、自分たちの体が大きくなりながらもスキルが上がっていった。飯食ってスキル、飯食ってスキルを3カ月間やり続けた結果が、最後つながってるのかなと」。3年計画が、ようやく一つの実を結んだ。
打倒シード校で全国2勝が目標
前回出場時は初戦で石見智翠館(島根)に7-34で敗れた。当時、田尾主将は中等部の3年生。「めちゃめちゃ大人に見えましたし、自分たちで(主体的に)ラグビーをやっているんだなっていうのは本当にすごくびっくりしました」。先輩たちは果たせなかったが、全国1勝は通過点だ。目標は打倒シードの2勝。「まずは1勝したいですし、自分たちの展開ラグビーが全国でどれくらい通用するのかっていうのを試したい」。自慢の武器にさらに磨きをかけ、全国の猛者相手に再び〝金星〟を引き寄せる。

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