今川優馬 モチベーション爆上げしたメジャーリーガーからのDM「今川くんみたいな選手が活躍することに意味がある」
三回無死、今川がソロ本塁打を放ち笑顔でダイヤモンドを一周する=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ21回戦 西武4-5日本ハム(9月13日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの今川優馬外野手(28)が、2号ソロを含む2安打1打点の活躍で、またしても勝利に貢献した。9日に約4カ月ぶりの1軍昇格を果たすと、同日にソフトバンク・モイネロから今季1号を放つなど、3安打3打点と爆発。翌10日も2日連続の猛打賞と暴れまくり、チームに強烈な勢いをもたらしている。
ベンチの仲間も執念ポーズで祝福
1点リードの三回だった。先頭で打席に入ると、1ボールからの2球目を振り抜いた。打球は逆方向へ飛び出し、そのまま右翼スタンドへ着弾。貴重な追加点に、新庄監督も両手を挙げ、ベンチを叩いて大喜び。チームメートからは次々に、人さし指を立てる執念ポーズで祝福された。
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「ファームでやってきたことが、ずっと出ているので、(手応えは)すごく良いです。きょうは、(頭部を負傷した八木打撃コーチの代わりにベンチ入りしている2軍打撃コーチの)横尾さんがずっと、『空振りしてもいいから』と声をかけてくださって、2打席目、ファーストスイングで思い切っていけたので、横尾さんの後押しの声がすごく大きかったなと思います」

「きょう打たなかったらまた、ファームも…」
昇格後は4試合に出場し、16打数8安打で打率5割をマーク。2本塁打3二塁打5打点と持ち味の長打力を発揮し、逆転優勝への起爆剤となっている。それでも、一日たりとも危機感を忘れたことはない。前日は無安打に終わったこともあり「もう本当に、きょう打たなかったらまた、ファームもあるかなというぐらい、それぐらい覚悟を決めて打席に立っていたので、きょう打てたのはだいぶ、自分にとってもでかいです」と安堵した。
腐ってもおかしくない状況で踏ん張れたワケは
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2軍で打率4割を超える成績を残しても、なかなか1軍から声はかからなかった。腐ってもおかしくない状況で踏ん張り、人一倍バットを振って耐え抜いた。その裏に、野球に懸ける思いや、愛する家族の支えがあったことは、周知の事実。加えてもう一つ、背番号61を奮い立たせた〝メッセージ〟があった。
新年早々、自身のSNSに異変「押し間違い?」
2025年になったばかりの新年早々、今川のSNSに異変が起こった。「あの、(エンゼルスの)菊池雄星選手から、フォローが返ってきていたんです」。以前から、博識な左腕を尊敬し、XやInstagramのアカウントを一方的にフォローしていた。「最初は押し間違いかなと思いました」。まさか自分を認知していることはないだろうと、すぐには信じられなかった。
半信半疑のままだったが、失礼がないように「初めまして、押し間違いかもしれないですけど、フォローありがとうございます」と、連絡してみた。すると、本人であることを証明する返事がきた。「あの菊池雄星さんから、ダイレクトメッセージをいただいて。『いや、もうドラフトの時から今川くんを知っているよ』と。経歴とか、僕のことをいろいろ知ってくれていたんです」。感激で、心が震えた。
米メジャーリーグ、エンゼルスで活躍する菊池雄星投手=共同
「力になれることがあれば、何でも相談してください」
フォローだけでも十分うれしかったが、励みになる言葉までもらった。「『今川くんみたいな選手が活躍すること、プロ野球で結果を残すことに意味があると思う。ずっと応援しています。僕に力になれることがあれば、何でも相談してください』と言ってくださって、えっ? マジか!?と。そこから菊池雄星さんに、より興味を持つようになって、動画とかいろいろ見ました。もう、やばいくらいモチベーションが上がりました」。大先輩からの優しいエールを支えに、不遇の日々を乗り越えてきた。
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鎌ケ谷にいても、どこにいても、誰かが見てくれている。菊池からの言葉を噛みしめながら、今川は「本当に、ありがたいです。僕が知らないところで、いろんな人が見てくれて、いろんな人が応援してくれていると考えたら、もっと頑張らなきゃなって思います」と力を込めた。残りは14試合。応援への感謝は、言葉ではなくバットで、海の向こうまで届けてみせる。
本塁打を放ち観客に拳を掲げる今川(中央)