今川優馬 5カ月前に誓っていたモイネロ撃ち 背水の覚悟が結実「冗談抜きでラストチャンスかなー」
五回、今川(右)が勝ち越しのソロ本塁打を放ち、執念ポーズを見せる=撮影・岩崎勝
■パ・リーグ23回戦 ソフトバンク4-7日本ハム(9月9日、エスコンフィールド北海道)
待ってました! 昇格即ヒーロー!
日本ハムの今川優馬外野手(28)が1軍昇格し、即スタメンで決勝本塁打を含む3安打3打点と大暴れした。3年ぶりにお立ち台に上がった道産子スラッガーは、ファイターズ愛全開でファンの歓声に応えた。
腐らず、2軍でエネルギーを蓄えてきた。待ちわびていた舞台に立つと、代名詞の執念をバットに乗せた。三回に反撃の口火を切る適時二塁打を放つと、同点の五回には中堅左へ、3年ぶりとなる勝ち越しのソロ弾。六回には中前適時打でダメを押した。
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エスコンのお立ち台で、ファイターズ愛をさけぶ
お立ち台では感情があふれ出た。「一言、言わせてください。ただいまー!」と絶叫。今後の意気込みを聞かれて「僕、ファイターズが大好きです。ファイターズのファン時代は2回、日本一を経験していますが、次はユニホームを着て日本一を達成したいなと思うので、残り17試合、熱い熱い声援をよろしくお願いします」と大声で訴えた。
ヒーローインタビューで「ただいまー!」と叫ぶ今川=撮影・小田岳史
背を押した新庄監督の指令
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1打席目に三振を喫した。2打席目を迎える前に、新庄監督から「迷ったら代えるよ」と言われた。中途半端なスイングは求めていない―という指令をくみ取り、吹っ切れた。
「空振りしてもいいや、ぐらいの気持ちでいきました」と結果を恐れずに立ち向かった。
五回、勝ち越しのソロ本塁打を放った今川(手前)を迎える新庄監督(左)
相手にとって不足なし 不退転の覚悟で打席へ
今季初スタメンが4月1日のソフトバンク戦(エスコン)で、先発はモイネロだった。3打数無安打に抑え込まれ「強烈ですよね。めっちゃいいピッチャー。すごかったです。でも僕の場合、ああいうピッチャーを打たないとダメなんです。サウスポーに合わせてスタメンで出させてもらって、打たないと次の試合のチャンスがなくなる。出るためには、アピールするしかない」と悲壮な覚悟を口にしていた。
あれから5カ月。防御率トップの最強左腕に食い下がり、リベンジを果たした。個人としても特別な試合と位置付けていて「今回は冗談抜きでファイターズのユニホームを着て野球をやれるラストチャンスかなと。それぐらい期する思いがありました。この首位攻防でいきなりスタメンで、しかも2番で起用していただいたので、迷いなく鎌ケ谷でやってきたことを信じてバットを振りました」と真剣な表情で言葉をつないだ。
三回無死二塁、適時二塁打を放った今川
まさに天職 野球を愛する道産子スラッガー
今も昔も根っからの野球小僧。春先、ナイターが終わり、深夜0時を過ぎてもロッカーから出てこない日があった。
「万中(万波)と一緒にトレーニングしていました。お風呂もご飯も一緒。バッティングの技術の話とか、チームのこととか、いろいろ話します。いつも盛り上がって、長引きました」と苦笑い。野球談義をしながら仲間と過ごす時間が何よりも充実していた。
試合前練習で万波(左)と話す今川
「優勝へのラストピースは今川だ」
アマチュア時代から、不可能を可能にしてプロの扉を開いた。残り1カ月は首位と3ゲーム差をひっくり返すために、全てをぶつける。
「自分で言うのも恥ずかしいんですけど、優勝へのラストピースは今川だと胸を張って言えるように鎌ケ谷でやってきたつもり。次の試合が大事です」。最もあきらめの悪い男が戻ってきた。パ・リーグの火は、まだまだ消さない。
五回、先頭の今川が勝ち越しのソロ本塁打を放つ