柴田獅子 ルーキーのことをよく知る庄司ディレクターが語るその人柄 「天然だし、それでいて礼儀正しい…」
ロッテ戦に先発した柴田=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ18回戦 日本ハム1-2ロッテ(9月3日、ZOZOマリンスタジアム)
またも見せつけた非凡な才能
日本ハムのドラフト1位・柴田獅子投手(19)がプロ2度目の先発マウンドに上がった。立ち上がりにいきなり長短2連打で先制点を献上。その後、2死一、二塁のピンチを迎えたが、追加点は与えなかった。二、三回は走者を出しながらも無失点。トータル3回51球を投げ、5安打1失点でまとめた。
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1年目の大活躍にも「あれぐらいやるよね」
投打二刀流に挑戦するルーキーを入団時から近くで見守ってきたのが、新人選手の生活面を指導する庄司秀幸選手教育ディレクターだ。
プロ初登板初先発となった7月26日のロッテ戦(エスコン)で、3イニングを投げて完全投球を披露。先月23日のソフトバンクとの一戦では2番手で登板し、2回⅔を1失点で勝利に貢献した。高卒新人とは思えない活躍を「驚かないです。投げる方はあれぐらいやるよねと思っていました」と誇らしげに見ている。
鎌ケ谷の室内練習場で庄司ディレクター(右)と言葉を交わす柴田
今でも頻繁にやりとり
庄司ディレクターは2軍施設のある鎌ケ谷の寮で暮らしている。2軍の試合後には、寮生の柴田から「ノックいいですか」とお願いされ、室内で練習に付き合うことも。1軍帯同となった今もLINEでやりとりをしており、「アイツ、よく(連絡を)よこすんですよ。マットレス送ってくださいとか。(同期で育成2位の)渋谷にも連絡していたみたいで、せっせと運んでいました(笑)」
1軍で結果を残しても、地に足を着けている様子に「ちゃんと睡眠を取ろうということ。いい連絡が来たなあって。ちょっと安心しました」と目を細めていた。
差し込まれた!?ファーストコンタクト
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柴田との出会いは衝撃的だった。昨秋のドラフトで指名され、鎌ケ谷の施設見学などに訪れた際、庄司ディレクターがアテンド役を務めた。羽田空港から2人で電車で移動し、ほぼ丸1日、行動を共にした。
「彼との会話は印象に残っています。普通の高校生なら緊張感がない。彼の場合は、僕が差し込まれる時がある。こっちが変な質問をしたら、アイツの返答の質が下がる。僕の質問とか、やりとりが悪いせいで、彼の思考を邪魔しちゃうかもしれない。それでいて、気を使っているけど疲れない。勝負している感じがして。負けられないなって。僕も勉強しないといけないし。人間力を高めないと彼とは会えないなって思いました」
鎌ケ谷・勇翔寮に入寮する柴田
読書でも見せる根気強さ
柴田は日本ハムの栗山CBOらも愛読する、人間学を学ぶ月刊誌『致知』を出版している「致知出版社」の本を好んで読んでいる。「難しい本を粘り強く読んでいる。分からないと言っても、2回、3回と読む」。その根気強さにも驚かされた。
魅力たっぷりの性格
19歳らしいところもある。「天然だし、それでいて礼儀正しい。方向音痴だったり、ああいうのでバランスを取れている」
ドラフト同期で育成の渋谷とは、大の仲良し。頻繁に連絡を取っており、札幌の合宿所でおいしい海鮮が出たことを報告するおちゃめな一面もある。
庄司Dが垣間見た優しさ
庄司ディレクターはつい最近、こんな姿も目撃した。鎌ケ谷の室内練習場で福岡大大濠高の先輩でもあるリハビリ中のドラフト同期・山城がネットスローをしていると、フラッと来て練習を手伝っていた。
「アイツの中での優しさが。しかも、初めて二刀流して帰ってきた次の日。リカバリーの日。そういところだよなって」。先輩後輩の心温まるやりとりに心を揺さぶられたという。
新人合同自主トレで山城(左)ら同期と話す柴田(中央)
根っこにある「野球が大好き」
いざマウンドに立てば、強心臓ぶりを発揮する。「野球が大好き。いろんな経験値を自分の中のパッケージに入れていくので。そういうのが楽しいんじゃないですか。今まで経験していないことをどんどん自分の体に入れ込んで、新しい柴田獅子をつくっていくみたいなのが彼のすごいところです」
この日の経験も、柴田獅子の成長に欠かせないピースになるはずだろう。