柴田獅子 プロ初登板 素顔は「致知」を読み込む〝哲学者〟「選手としてではなく、人として野球をやった方が伸びる」
一回、無失点に抑え、ベンチに戻る柴田(左)迎える新庄監督=撮影・井上浩明
■パ・リーグ13回戦 ロッテ0―5日本ハム(7月26日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムのドラフト1位ルーキー柴田獅子投手(19)が、先発でプロデビューを果たした。3回投げて無安打無失点、無四死球と見事な〝完全投球〟を披露した。
3原則を再確認した7月上旬のロッテ戦
柴田には、野球を楽しむための原則がある。「野球は、『楽に』『簡単に』『面白く』やりたい。これが僕の3原則です」
7月上旬にZOZOマリンで1軍のロッテ戦を観戦し、自身の思いを再確認した。「見ていて、本当に楽しそうだな、面白いだろうなって思いました。やっぱり、ワンプレー、ワンプレー、沸くじゃないですか。そういうのが良いなぁって。野球は、そこだけだと思います。このプレーが良いとかじゃなくて、沸く、騒ぐ、面白い。本当にそれが全てだと思います」

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探究心の強い飽き性
性格を「めちゃくちゃ飽き性なんです」と認める一方で、「探究心がめちゃくちゃ強い」とも自己分析する。
「僕は、できない状態の方が良いんです。もしトップになったら、全然面白くなくて、すぐ飽きてしまうと思う。例えばテストだって、毎回同じ内容だったら100点がずっと取れますけど、それじゃ面白くないじゃないですか」と自身の考え方を説明する。
プロの世界で幸せを感じる日々
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そんな右腕にとってプロ野球の環境は、もってこいだった。
「プロに入って、全てが変わりました。周りのレベル、自分のレベル、日々の成長の仕方。環境もガラッと変わった」。レベルが高く、知らないことだらけの世界に入り「気付きがない日がない。こうなったら、こうなるんじゃないかって考えて、試して、というのが楽しいです」と、あふれる探究心を満たす時間に幸せを感じている。
一回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る柴田=撮影・松本奈央
王貞治会長や栗山CBOも愛読
柴田の知的好奇心は、野球だけにとどまらない。練習、試合が終わり、寮に戻って、けが予防のケアを済ませた後は、読書に時間を割いている。
ソフトバンクの王会長、日本ハムの栗山CBOらも愛読する、人間学を学ぶ月刊誌『致知』を出版している「致知出版社」の本を読み込み〝人間の本質〟に迫ろうとしている。
ドラ1ルーキーが読書にふける理由
「環境は、時代によって変わってきているじゃないですか。今は、理論的になって、自分の本能を出す、という感じがない。ということが書かれている本だったり、遺伝子のスイッチをどう押すか、という本だったり、難しいですけど、そういうのを読んでいます。人間が本来持っている基礎的な考えが、今の時代はなくなっている。そういうものを、ちゃんともう一回見つめ直すことで、これからの将来にうまく作用していくことがある。もちろん、読んだから良くなるというわけではないですけど、読まないと分からないこともたくさんある。昔の人は、今の技術に頼らなくても、何でもできた。本を読むだけで、野球に対しての気付きではなくて、人としての気付きを得ることができる。野球の選手として野球をやるのではなくて、人として野球をやった方が伸びるかなと思っています」

前途洋々な19歳
まるで哲学者のように人生を考え、人としての成長を目指す19歳。ここからどんな進化を遂げ、どんな選手、人間になっていくのか。
伸びしろたっぷりの黄金ルーキーにはきっと、想像を超える未来が待っている。