田中宏武 新体制で定位置獲得へ「新しく競争。絶対負けないように」
後半から途中出場した秋田戦で攻撃を活性化させたMF田中宏(右)。新体制でのレギュラー獲得を誓う=撮影・宮西雄太郎
■8月19日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
北海道コンサドーレ札幌のMF田中宏武(26)が19日、札幌市内で行われた全体トレーニングに参加し、第27節・甲府戦へ向けて調整した。前節の秋田戦は0-1で迎えた後半開始から途中出場。積極的にサイドを駆け上がり、チームの攻撃を活性化させた。新体制で戦うシーズン終盤。背番号30はライバルたちとの競争を勝ち抜き、柴田コンサに欠かせぬピースとなる。
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前へ、前へ。そのアグレッシブな姿勢が、札幌に躍動感をもたらした。新体制の初陣となった秋田戦は、立ち上がりから相手の素早いプレスに苦しみ攻撃の形をつくれなかった。有効なパス回しを展開できずにいると、前半36分にミスから先取点を献上。柴田監督はハーフタイムを挟み、サイドアタッカーの投入を決断した。
チャンスを得た田中宏は「ミーティングでも点を取りに行くフェーズと話していた。前半は意図して回すことで時間をつくるなり、あえてバックパスをしていたなら良かったけど、どちらかと言えば持たされていた。相手の圧を怖がって下げてしまうシーンが目立ったので、僕が入ったら常に攻撃的に前を向いてプレーしようと考えていた」と決意を固め、フィールドへ向かった。

明確な意図を持ったプレーは、停滞していた攻撃のリズムを変えた。左サイドで上下動を繰り返し、ときにはドリブルで相手陣地を切り裂いた。「自分は背後のスペースや、(周りを)使って(パスを)出して空いたスペースを突いていくプレーが得意」と特長を存分に発揮し、何度も好機を演出した。
柴田監督が掲げる新たな戦術を歓迎
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スペースアタッキングを掲げる柴田監督のフットボールは、幅広くピッチを使うことで相手の守備陣形を崩す狙いを持つ。これまで以上に攻撃的なスタイルを歓迎する田中宏は、新たな戦術を「相手が使いたい場所を使わせないこと。また逆に、自分たちが使いたいスペースを相手に絞らせないで使い続けること」と解釈する。
ワイドポジションの重要性が増す今、チーム内競争はさらなる激化が予想される。原が台頭する状況で、右サイドの本命である近藤も左ふくらはぎの肉離れから復帰し、この日はフルメニューを消化。負傷明けのパクミンギュや中村ら、レギュラー争いのライバルは数多く存在する。
「競争はどのポジションにもある。ボランチは5、6人いる中で2人しか出られない。FWもワントップなら、良い選手が何人もいる中で1人しか出られない。0からではないけど、監督が替わって競争が新しく始まった。まだ1週間しか経ってないので、絶対負けないようにやっていきたい」
失うものはない。シーズンは残り12試合。最大目標の昇格と定位置獲得を目指し、ひたむきに挑戦を繰り返す。「後ろ向きにプレーしても、前向きにプレーしても必ずミスは起きる。それなら前向きに。もちろんミスをしないつもりでやるけど、ミスをしても前向きな方が、周りはチャレンジしている選手を助けようと思ってくれる」。期待のドリブラーは、勇気を胸に前へ進む。

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