《大海の部屋》新春スペシャル 鹿部への帰省に〝密着〟 「ふるさと感。心安まるじゃないですか」
「鹿部稲荷神社」を参拝し、優勝を祈願した伊藤=撮影・松本奈央
大人気連載は5年目に突入!
連載5年目に突入した日本ハム・伊藤大海投手(28)の『大海の部屋』は今回、【新春スペシャル】として生まれ育った鹿部町から、お届けします。毎年、初詣で参拝している「鹿部稲荷神社」で必勝を祈願。2年ぶり2度目の開幕投手に指名されている道産子右腕が、「心安まる」故郷で「優勝」を力強く誓いました。
(1月4日には大海の部屋・特別編を掲載予定)
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自宅からほど近い「鹿部稲荷神社」には、年をまたいで訪れることが多い。 プロ入り後、おさい銭は背番号17から「17円」と決めている。願いごとは「1年間おつかれさまでしたみたいな。子どもが生まれたので、子どもの健康を祈って」。昨年12月に誕生したばかりで、自身に似ているという長男の健やかな成長を願った。
新庄監督から託された思い
入団1年目の2021年には、負けず嫌いを発揮し、大吉が出るまでおみくじを14回引いたという逸話を持つ。今回、引いたのは鹿部の特産品たらこをモチーフにした「多楽呼(たらこ)みくじ」。北海道のご当地みくじ「えぞみくじ」で、文面が北海道弁で書かれたオリジナルの内容となっている。

結果は「吉」だったが、1回で終了。「いいこと、だめなこと、どっちも起こるんでないかい…。健康、体重増減に注意っしょ…。恋愛、いい時も悪い時も経験して絆が深まるっしょ…。幸運の北海道名物、ホタテ、タマネギてんこ盛り、北見名物塩焼きそば。幸運の名所、富良野の絶景、心を癒やすラベンダー畑…」。照れくさそうな表情を浮かべながら、内容を読み上げた。

絵馬には迷うことなく「優勝」の2文字をしたためた。「それしかなくないですか? 優勝しかない」。昨季2年連続の2位に終わり、「悔しさ、もちろんありますし、なんかこのままずっとずるずる行っても嫌なので、優勝したいですね」。ソフトバンクのリーグ連覇が決まった翌日には、新庄監督から自身2年ぶり2度目の開幕投手を告げられた。「たぶん来年も(監督)やるから、開幕頼むわって」。直接、言葉をかけられ「うれしかったですね。もちろんやらせていただきます、って」

子を持って知る親の恩
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昨季は2年連続の最多勝と最多奪三振の投手2冠に輝き、目標に掲げていた沢村賞を初受賞。エースとしてチームをけん引する立場となった伊藤にとって、地元は心が休まる場所だ。オフシーズンに入ると、足を運ぶ機会が増える。「帰ってきたって感じがする。やっぱり海ですかね。帰ってきた感があるのは」。シーズン中もさまざまな釣り場を巡っているが「ビジターに行っている感じなので、普段行くところは。ホームな感じです。声かけられることもありますよ。頑張れよ、とかは言ってくれる。頑張っているけどな、と思いながら(笑)」

今年のシーズン中、「こっちまで来たのは1回だけですね」。たこ漁師の父・清光さんに船を出してもらい、母・正美さんと3人で「初めてぐらいじゃないですか」と釣りに出た。「なんかいい時間でした」。両親は自宅から片道4時間かけて、エスコンへ応援に駆け付けてくれることもある。自身も父になり「年々、その大変さがより理解できるので」と感謝の思いは尽きない。
忘れられない父との打撃練習
中学時代は函館東シニアに所属。練習がない平日、トレーニングに付き合ってくれたのが父だった。部活に入っていなかった大海少年は学校が終わると、実家から車で数分の距離にある山村広場多目的グラウンドへ。「思い出っすね。ずっと練習していました。冬は体育館に行っていましたけど。自然とそういう流れになりましたね。日課じゃないですけど」
2024年5月、山村広場多目的グラウンドで取材に応じた伊藤大海の父・清光さん
印象に残っているのは、父が打撃投手を務めてくれたバッティング練習。「ずっとあそこ(山村グラウンド)で、してたんですよ。30球くらいボールを打って2人で拾って。で、3年生くらいになると、球拾いめんどくさいので、打ち分けするようになりました。これ全部引っ張ろうとか。後ろに行っても拾う人がいないので、ボール球が来ても全部、打っていましたね」と懐かしそうに振り返る。
練習後には、5キロほどのランニングコースを1人で走った。「そんなに走るの得意ではなかったので。シニアの練習に置いていかれないように、シニアに入った日から始めました。間違いなく、基礎体力は付きました」。コツコツ続けたルーティンが、けがなく先発ローテーションを守り続けるタフさにつながっている。

今や球界を代表する先発投手
21年の東京五輪で金メダル獲得に貢献し、23年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一に輝いた。球界を代表するピッチャーになったが、生まれ育った故郷の人たちはいつも変わらず接してくれる。
「いた頃と変わらないのがいいですよね。こういう感じ(の雰囲気)じゃないですか(笑)。ふるさと感。心安まるじゃないですか。こういうところの方が。ガヤガヤしていなくて」。都会の喧噪(けんそう)を離れて、通い慣れた釣り場で竿を投げる。そんなふとした瞬間が、エースに安らぎを与えてくれる。

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