北海の小さな大エース・浅水結翔は準備万端 欠点を個性に転換しエースへ成長【夏の甲子園】
ブルペンで投球練習する北海の浅水=撮影・桜田史宏
■全国高校野球選手権第5日(8月9日)
南北海道代表の北海は、1回戦・東海大熊本星翔戦に向けた最後の練習を兵庫県明石市内で約2時間行った。南北海道大会決勝で公式戦初完封を成し遂げ、優勝に大きく貢献した背番号1の変則左腕・浅水結翔投手(3年)はブルペンで約40球の投げ込みを行って最終調整した。
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南大会決勝時より良い状態

167センチ、北海の小さな大エースの甲子園デビューが近づいてきた。ブルペンでは打者役を左右の打席に立たせて、実戦に近い形で最終仕上げ。「(関西に)来た時はあんまり良くなかったんですけど、日がたつに連れて、ちょっとずつ上がってきて、今は(南大会)決勝の時よりも良い状態」と、準備にぬかりはない。
7月20日の南大会優勝後、少し状態を落とした。「スライダーが大きく曲がりすぎてキレがなかったり、真っすぐが変にシュートしすぎちゃったりしていたので、そこは修正しました」。腕の振りをこれまで以上にコンパクトにすることによって、スライダーの曲がり幅が小さくなり、キレも増した。
左腕では珍しいプレート位置

最速は133キロだが、平均球速は120キロ台中盤。それでも打者を打ち取る大きな特長は、欠点を個性に返還した投球術だ。左腕では珍しく投球プレート三塁側いっぱいを踏む。ナチュラルにシュートする直球は約50センチ動き、左打者の内角をえぐる。右打者には小さく変化するスライダーでバットの芯を外す。ここにたどり着くまでには、並みならぬ苦労があった。
昨春の甲子園出場中にフォーム改造
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メンバー入りも出番のなかった2年春のセンバツ甲子園。それまでは、オーソドックスな上手投げだったが、左打者の高めに抜ける悪癖があり、「そのままだったら打撃投手(立島達直部長)」と、大会期間中からフォーム改造に着手。腕の位置を徐々に下げ始め、スリークオーターに収まった。帰道後の春季大会では2年生でエースナンバーをゲット。今春、小野悠真(2年)に背番号1を譲ったが、最後の夏に再びエースの称号を取り戻した。南大会決勝では札幌日大高のプロ注目148キロ右腕との投げ合いを制して初の完封。相手と体格や球速の差もあったが、ものともせずに大舞台での勝負強さを発揮した。

グラブはOB鍵谷と同じデザイン
母校愛を刻み込む。新調したローリングスの漆黒グラブの網部分には、同校OBで昨季限りで引退した元日本ハムの鍵谷陽平投手(34)と同じ、同校の校章と同じ星のマークがデザインされている。さらに内側の手のひら部分には、北海道の形が刺しゅうされている。「良いグローブを作ってくれてうれしかったです。北海道代表として恥じないプレー、恥じないピッチングをしたい」と力を込めた。

高まる勝利への意欲
宿舎から練習会場への往復のバスの車中や宿舎では甲子園の熱戦をチェック。「沖縄尚学と金足農業の試合が印象に残ってます。展開が面白いっていうのもあったのと、投手戦っていうのが面白かった。早く投げたいのと、負けたくないっていう気持ちが強く高まった」。センバツの悔しさを糧にエースへの階段を駆け上がってきた浅水の最初で最後の夏がいよいよ幕を開ける。
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