矢沢が２５歳の誕生日を迎えた。少し大人になった実感はあるか―と質問したら「あまりないです。言うても（１軍の）野手は年下がガタシュー（山県）しかいない。ファームに行ったら感じるかも」と穏やかな口調で答えてくれた。

　何かプレゼントをもらったのか、合わせて聞いた。すると、チームメートに視線を移しながら「（伏見）寅威さんには毎年、もらっているので、僕も贈っています。今年はまだ誰からも、もらっていないですね。募集中です」と冗談交じりにおねだりした。

　個性豊かな選手が揃うミレニアム世代の一人。互いに刺激を受けており、見えない絆がある。想像していた通り、同級生は特別で「きょう、吉田から連絡が来ましたよ。奈良間からは自撮りでムービーが送られてきました。ハッピーバースデーと歌った動画。（１軍に）いるのに！」とツッコみながら笑った。

　さすがはムードメーカーの奈良間だ。この日はハードなナイター明けのデーゲーム。しかも前日は移動便が大幅遅延するアクシデントに見舞われ、心身ともに疲れきっているはずだった。それでも大事な仲間を笑わせるため、喜ばせるために一肌脱ぐ。

　粋なプレゼントですね、と素直な感想を矢沢に伝えたら「完全に寝起きの顔をしていましたね。おまえの動画はいらないと返しておきましたよ（笑）」。愛情たっぷりのやりとりだった。