細野晴希 3勝目につながった〝休日返上視察〟 隅田&羽田から刺激受け、達のけん制は…
ヒーローインタビュー後、3勝目を挙げた細野がガッツポーズをみせる=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ17回戦 日本ハム2ー0楽天(7月21日、楽天モバイルパーク宮城)
日本ハムの細野晴希投手(23)が、前半戦最後の試合に先発し、6回2安打無失点で3勝目(1敗)をマークした。5四球を与えたものの、「(加藤、武田両)投手コーチの方からは、『いくらフォアボールを出してもいいから』と言ってもらっているので」と、自分を追い込みすぎることなく、チームを勝利に導いた。
前回登板までは三振を取ろうという欲があった
「感覚は悪くなかったです。六回まで0でいけたことは、一つ成長かなと思います。(前回登板までは)三振を取ろうという欲があったんですけど、きょうは打たせてみようというテーマで入った。暑かったですけど、全然、体力的には問題なかった。鎌ケ谷でもいっぱい、走っていますし、そこまで、想像していたよりかは大丈夫でした。ブルペンから状態も良かったですし、試合の中でも、各球種、クオリティーの低い打球を打たせられていたので、それなりに良かったんじゃないかと思います」
6回2安打無失点と好投をみせた細野=撮影・岩崎勝
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好投の伏線は、ちょうど1週間前にあった。7月14日、2軍で調整中だった細野はオフだったが、珍しく月曜日に1軍の日本ハム対西武戦が開催されていた。場所は東京ドームで、鎌ケ谷からも行きやすく「ちょうど休みでしたし、(西武の)先発を聞いたら隅田さんだったので」と、東洋大野球部時代のチームメートで親友の小林さんを誘って〝視察〟に向かった。
確かに球速が速いのは速いんですけど…
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今季7勝をマークしている同じ左投げの隅田を、徹底的に観察した。「アベレージ(平均球速)が大事だと言われている中で、(隅田は)確かに(球速が)速いのは速いんですけど、バッターによってとか、タイミングを見て、145、6キロぐらいの球でピュッと投げてカウントを取ったりしていた。そういうのも大事なんだなと、あらためて感じて、すごく勉強になりました。そこでアベレージが落ちても、アベレージだけにこだわる必要はないんだと、確認できました」と、マウンドでの考え方を学んだ。
四回2死一、二塁、楽天・堀内から三振を奪い、ほえる細野
いつまでキャッチボールしているか問題
さらに注目したのは、味方の攻撃終了時だった。「僕は、隅田さんが、チェンジになった後に、いつまでキャッチボールをしているかを見ていました。ファームだとすぐ(マウンドに)行くんですけど、意外と、チェンジになってから何球か投げて、余裕を持って行ったりしていた。そういうのは現地で見ないと見えないので、そういう意味でも良かったです」。好投手からヒントを得て、有意義な時間を過ごした。
「先を越されているぞ」って言われました
もう一人、西武の2番手で登板した羽田にも、心を動かされた。日本人左腕で初めて、1軍の公式戦で160キロを出した場面を目撃し、「羽田くんが、マックスを更新していて、たまたまそばにいたアナリストの人とかから、『お前、先を越されているぞ』って言われました。年下の子が、すごいボール投げていて、刺激になりました。負けないようにしたい」と奮い立った。
この日、日本ハムの先発は、仲良しの達だった。西武応援団の大ブーイングを浴びながらも、楽しそうに、けん制を繰り返す後輩を見て、細野は「本当にやりおった!」と驚いた。
7月14日の西武戦、西武ファンのブーイングの中、またけん制する達
あれは有言実行だったのか!
「前に、僕がブーイングか何かされたときに、ちょうど達と話していたんですよ。ブーイング、結構、怖かったわってしゃべったら、あいつは『俺やったら、面白くて、もう一回してしまうかもしれん』って言っていて、本当にそれをやったので、僕はめっちゃ面白かったです」
純粋にファン目線で、野球を楽しむ時間にもなった。「やっぱり楽しいですね。あの試合は、緊迫していて、余計に面白かったです。応援が楽しかったですし、すごかったです。こんなすごいんだと思いました。ドームだと、響きますね」
隅田の投球術、羽田の160キロ、達の堂々たるマウンドさばき、球場に響く大歓声―。全てを自分のモチベーションに変え、前半戦最後の登板で結果を出した細野。後半戦も間違いなく、優勝争いのキーマンになる。
