マルティネスを愛すべき理由 2軍でロッテファンの子どもにプレゼント「これからはファイターズを応援してくれるって」
9日の試合前練習後、汗を拭うマルティネス=撮影・小田岳史
勝負強さは健在 8日のロッテ戦でV打
日本ハムのアリエル・マルティネス捕手(29)が8日のロッテ戦で延長十一回に代打出場し、決勝適時打を放った。
どんな時でもファンを大切にするナイスガイ。けがで2軍調整を強いられていても、その姿勢は一切、ぶれなかった。
異例のヒーローインタビュー
異例だった。6月1日の2軍ロッテ戦(鎌ケ谷)でヒーローインタビューに呼ばれたのは、一回に先制2ランを放ち、五回まで出場して途中交代したマルティネスだった。
そもそも、2軍のヒーローには若手が選ばれる傾向が強い。さらに、外国人選手は交代後、ベンチに残る義務はないため、通常は寮や室内練習場に戻り、トレーニングやケアに時間を使う。必然的に、途中交代した助っ人がお立ち台に立つ機会はほとんどない。

仲間のため、ファンのため
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しかし、この日のマルティネスは違った。
「ウエートとか、個人でやるべきことはもうなかった。試合でチームメートが頑張っていたので、最後まで見届けようと思って残っていました」。試合終了までベンチで仲間を鼓舞し続けた。
担当者からヒーローインタビューの打診を受けると、「週末ということもあって、ファンの方たちがいっぱい来てくれていた」と快諾。感謝の思いを言葉にして届けた。
2試合連続の〝雨中〟も憂慮
もう一つ、思いがあった。前日、前々日の2試合が天候不良で中止になっていたことを気にしていた。
「2試合、雨で中止になっちゃって、自分は(試合を)やりたい気持ちでずっといたんですけど、できなかった。見たかったファンの人もいたと思う。だから、きょうは(第1打席に本塁打が出て)良い形で試合に入れて、たくさんのファンの前で良い姿を見せられて良かった」とファンの気持ちをおもんばかった。

心から思う「ファンがあってのプロ野球」
ファンサービスファーストを体現する行動は、まだ終わらない。ヒーローインタビュー後、寮へ戻る途中の坂道には、大勢の人が集まっていた。
「きょうはファンの数がすごかったね。いつも言っているんですけど、僕はファンがあってのプロ野球だと思っている」。一人一人と丁寧に向き合い、サインを書くペンを走らせ続けた。
まさかの神対応も
一通り対応を終えると一度、寮に戻り、自身のバットを手に再び戻って来た。ロッテのユニフォームを着ていた子どもに、プレゼントするためだった。目的を果たすと、「これからはファイターズを応援してくれるって」と満足そうに笑っていた。
だからグワチョは愛される
「ファンが足を運んでくれて、応援してくれるから、われわれは野球ができている。少しでも恩返しがしたい。チャンスがあれば、いつでも対応したいなと思っています」
この日、グワチョが見せた行動の全てに、ファンから愛される理由が詰まっていた。
8日のロッテ戦で決勝打を放ったマルティネス