【鎌ケ谷で見た光景㊦】松本剛へ谷内コーチの思い「剛の力が必要」 直接会って伝えた言葉は-
3日の2軍オイシックス戦、打席に入る前の松本剛=撮影・中田愛沙美
時間を見つけては鎌ケ谷に足を運ぶ若きコーチ
日本ハムの谷内亮太内野守備走塁コーチ(34)は1軍担当だが、関東でナイトゲームが行われる日の午前中は2軍本拠地・鎌ケ谷を訪れることがある。ベルーナドームで西武戦が行われた6月27日も足を運び、2軍調整中の松本剛外野手(31)と言葉を交わしていた。
【鎌ケ谷で見た光景㊤】松本剛 欠かさぬ〝居残り練習〟
「心の支え」でもある元チームメート
2人は2019年から5年間、チームメートとしてプレー。松本剛はその存在を「心の支え」と表現するなど、兄貴分として慕っていた。
昨季からコーチと選手の間柄となったが、信頼関係は変わらず。谷内コーチは「コーチと選手ではなくて、一緒にやってきたチームメートみたいな感じで話すこともあります。選手の感じはどう? とか聞いて、それを参考にしたりしています」と明かす。
2023年9月26日のロッテ戦、練習前に並んでアップをする松本剛(左)と谷内=撮影・松本奈央
プロの世界は結果がすべて
今季は開幕から思うような成績が残せず、苦悩する姿を見てきた。2度の2軍降格を味わい、現在はファームで調整している。
「チームにとっては絶対に必要な人間、選手だから。ただ、1軍は結果を残さないといけない。競争に勝たないといけない、勝利に貢献しないといけない。いろんな条件がある中で、今の現状は結果からしたら仕方ないと思います」
個人成績とチームへの貢献
2022年に首位打者のタイトルを獲得し、主力選手へと成長。ここ数年は選手会長として、チームを引っ張る役目も担っている。
「プロ野球は個人事業主だし、極論、自分が結果を残せば何でも良い。そういう特殊な中で、ああやってチームのことを考えながら行動できる人は本当に貴重だと思う。難しいけど、僕は両立できる選手だと思う。個人的には頑張ってほしいと思いますね」
もがき苦しむ〝盟友〟にエール
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真面目で責任感が強い松本剛の性格は、理解している。その心境をおもんぱかり、エールを送る。
「1回タイトル取って、自分はもっとできると思っている気持ちと、今の体とかコンディションの現状とイメージの差で苦しんでいると思う。過去の良かった時の形を追い求めるのも一つの方法だし、もっとこうやった方がいいなと新しいのを追い求めるのも一つの方法。とにかく納得する形で前に進んで結果を出して、早く戻ってきてほしい」

9年ぶりの優勝&日本一へ必要不可欠な存在
シーズンは中盤戦に入り、優勝争いは本格化してくる。厳しい戦いが続く中で、経験豊富なベテランの力は欠かせない。
「成績を出して、給料が上がるのは、周りから見られるハードルが上がるということ。それは自分で乗り越えないといけないと思うけれど、チームが優勝、日本一になる瞬間に絶対いてもらわないと困る。ここからそういう争いをしてくには剛の力が必要。裏もそうですけど、もちろんグラウンドでも力が必要。厳しいことも言えるし、そういう人間が本当に必要だと思います」と語気を強めた。
思いを受け止めて前へ
そんな谷内コーチの思いは、松本剛本人にも届いている。
鎌ケ谷で直接、声をかけてもらうなど「谷内さんは最近まで一緒に現役やっていたのもあるし、結構、仲良くさせてもらっていた。いろいろ話す機会も多かった選手なので。今はコーチだけど、コーチと選手という立場になっても気にかけてくれるので、すごくうれしいです」と感謝する。

〝らしい〟言葉に一念発起
フランクな言葉が心に響いた。
「僕には、心配していないけど、とにかく頑張れよと言ってくれたので。もう一回、頑張ろうと思っています、という話をして、良かったよ、剛がそう思っていて、おまえのことは心配していないから、とにかく頑張れと。谷内さんらしい雰囲気と言葉の使い方で声をかけてくれて、そうやって気にかけてくれるのは本当にうれしいですね」
誰もが待ち望む復活
熱い期待に応えるべく、試合後も〝居残り練習〟に励む日々。稲葉2軍監督ら首脳陣も助言を送るなど、松本剛の存在を気にかけている。
周囲の人が手を差し伸べてくれるのは、努力している姿を見ているから。報われる日は必ず来る。