【鎌ケ谷で見た光景㊤】松本剛 欠かさぬ〝居残り練習〟「野球がめちゃめちゃうまくなりたい」
室内での練習を終えて、寮に戻る松本剛(左)と宮崎=撮影・中田愛沙美
若手もベテランも〝上〟を目指し汗を流す場所
2軍本拠地・鎌ケ谷での試合後、室内練習場がいつにも増して活気づいている。
1日のオイシックス戦後には松本剛外野手(31)が、2年目の進藤勇也捕手(23)、宮崎一樹外野手(23)と2時間ほどみっちり汗を流した。
美しい光景の中心に頼れる選手会長
新人選手らの教育面を指導する庄司選手教育ディレクターが、うれしそうに明かす。
「活気があるのは、(松本)剛がいるからです。進藤、宮崎にも7時半とか(寮の)夕食ギリギリの時間まで付き合ってくれて、僕はそれに感動しました。性格が違う進藤と宮崎で、分けてアドバイスをしているし、後輩に対しても真剣なんです。そこに横尾(2軍打撃)コーチもいて、4人でやっていましたね。本当、素晴らしいです。2人にとって、松本剛は憧れの存在。必死で食らい付いて、(松本剛が)必死に答えているのが美しいなと思います。尊敬できる選手ですよね」
庄司ディレクター(右)とドラ1ルーキーの柴田
庄司ディレクター 「すごく光って見えました」
松本剛はその日、「1番・中堅」でフル出場していた。3時間半を超えた試合が終わり、寮に荷物を置くと室内へ直行。休む暇なく、バットを振った。庄司ディレクターにとって、その時の光景が印象的だった。
「試合が終わってすぐだったので、ユニホームが泥だらけで。ベテランだったら、いの一番にシャワー浴びてが普通じゃないですか…。ユニホーム泥だらけで、涙が流れてくるような練習でした。みんながユニホームドロドロになって。すごいいいなって。すごく光って見えました」
午後5時前から始まった練習が終わったのは、日も暮れた同7時。「そこ(室内)で終わりじゃなくて、クラブハウスで(自宅に)帰る直前まで宮崎と話をしていました」。選手会長を務めるリーダーの献身的な姿勢に、感銘を受けたという。
2軍・オイシックス戦に出場した松本剛
自身にとっても濃密で有意義な時間
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松本剛にとっても、後輩たちと過ごす時間は貴重なものになっている。2軍降格後は〝居残り練習〟を日課としており、先月28日から宮崎と一緒に練習するようになった。時には、同じ2年目の進藤が加わることも。
「宮崎とか進藤も一緒になってバッティング練習して、すごく勉強になることがたくさんある。野球がめちゃめちゃうまくなりたいなってすごい思っているし、うまくなるにはどうしたらいいのか。毎日、モチベーションも高いところで練習ができているし、やっていてすごく楽しいです」
大切にしている話し合いの場
黙々と打つだけではなく、気になった点があれば、お互いに言い合う。
「ザキに(助言を)言っていたことで、俺もこうなっているなと思えたり…。教えているというより、一緒にやっている感じですね。そういう中でいろいろ聞いてくれるので、経験したことは何でも言いたいし、全部、僕が正しいとかじゃないけど、その中の一つでもヒントになれば、それでヒット一本でも打てれば。(アドバイスも)進藤にはこう言ってみたり、ザキにはこう言ってみたり(変えて)。野球って面白いなって思うことが多くて、今はやっていて楽しいっす。それが自分にも生きてくれれば」
試合後、室内で宮崎(左)とともに練習する松本剛
プレー以外でもチームに大きく貢献
充実しているからこそ、時間はあっという間に過ぎていく。
「(練習を)やっていたら、時間が過ぎるの早いもん。(1日は)気付いたら、7時くらいになっていた。すげえいい時間だったんだろうなって。自分にとってもいい時間だと思うし、バッティングって一生悩み続けるものだと思うけど、こう、ちょっとでもヒントになってくれたらいいなと思うし、ちょっとでもいい感覚が生まれればいいなと思いながら。(自身も)状態上げないといけないのは間違いないけど、一緒にやっているのは楽しいなって思っちゃう」。大粒の汗を拭い、野球少年のような表情をのぞかせる。
誰もが認める真摯な姿勢
3日の試合後も、室内練習場へ。宮崎と言葉を交わしながら、バッティング練習を行っていた。野球と実直に向き合う姿は、まさに若手選手のいい見本となっている。

1軍復帰を待ち望む谷内コーチ
そんな松本剛の1軍復帰を待ち望んでいる人物がいる。チームメートとして苦楽をともにしてきた谷内内野守備走塁コーチだ。
【㊦に続く】