山県秀 「スター選手」の有原から快音 早大の先輩を攻略した作戦は…
三回、先頭で中前打を放った山県(左)=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ11回戦 日本ハム0-1ソフトバンク(7月1日、東京ドーム)
3試合連続のスタメンできっちり結果
日本ハムのドラフト5位ルーキー・山県秀内野手(23)が「9番・遊撃」でスタメン出場し、相手先発の有原航平投手(32)から第1打席に安打を放った。
カウント2-2からセンター前へ
「なんとか1本出てくれたので、そこは良かったかなと思います」
同じ早大野球部出身の大先輩を、見事に攻略した。三回の先頭で初対戦を迎え、カウント2―2から華麗なピッチャー返しを披露。中前に運び、塁上でうれしそうに笑った。

してやったり 「全部に対応できるピッチャーじゃない」
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まだプロの世界を駆け出したばかりの山県は、実績十分の有原を「本当にスター選手」と敬う。だからこそ、緻密に作戦を練って勝負に挑んだ。
「全部に対応できるピッチャーじゃない。全部に対応しようとすると、術中にハマってしまう。球種で割り切ったり、コースを割り切ったりしていきました」。狙い球、コースを絞り、思い切り良くバットを振ることで、実力と経験の差を埋めた。
交流戦前にペイペイドームであいさつ
もちろん、後輩としての礼儀も欠かさない。交流戦前の5月下旬に、みずほペイペイドームでソフトバンクと対戦した際、登板予定のなかった有原の元へあいさつに向かった。
「本当に和やかな、フランクな感じで、優しくあいさつしてくれました」。マウンドでは力強いボールを投げてくる豪腕も、グラウンドを離れれば、心優しい同門の先輩だった。
日々感じる成長と深まる自信
今季はここまで1軍で45試合に出場。魅力的な守備と意外性ある打撃で、首脳陣の信頼をつかんでいる。
「バッティングは本当に、自分は全く期待されていない状態で入ってきた。そこは、本当に今までやってきたことプラス、いろいろな方々の指導だったり、アドバイスをしっかり取り入れながら、自分のバッティングを見つけていきながら、少しずつチームの中心になっていけるような成長を、日々できていけばいいかなと思います。経験の数が増えたので、復習の数も増えて、頭の回転がたまに追い付かないこともあったんですけど、ワンプレーごとだったり、1打席ごと、しっかり復習しながらここまで来られている。自分としては、すごく成長につなげられているのかなと思います」と自信も深めた。
試合前練習で新庄監督(左)と話す山県
食事にウエートトレ… 意識する体重維持
本格的な夏を迎え、疲労もたまる時期だが、体重維持に気を使いながら乗り切る構えだ。
「除脂肪体重を常に意識して、いい感じに増えてきている。夏場は増やすことは難しいと思うんですけど、落とさないように意識しながら。自分は食べるのは別に苦手じゃないので、しっかり食べて。あと、ウエートもだんだん強度がきつくなってきて、でも夏になって、そこで妥協してしまったら、今まで積み上げてきたものが無駄、ゼロになってしまう。体と相談しながらですけど、しっかり自分の体が大学時代に戻らないようにやっていきたい」
悔しい代打交代もすべてをプラスに
ここまで順風満帆だが、一つ、犠打には苦しんでいる。この日、八回無死一塁で回ってきた第3打席には立つことができず、代打が送られた。代わりに打席に立ったのは、普段から犠打などについてアドバイスをもらうことも多い中島。1球で完璧に転がし〝ピンチバンター〟としての役割を見事にこなした。
「毎試合、勉強させてもらうことばっかりです」。頭脳派ルーキーは目に焼き付けた中島の姿をきっと、今後の成長につなげるはずだ。
八回無死一塁、代打で出場した中島が犠打を決める=撮影・中川明紀