パ・リーグの個人成績に目を移す。今井、モイネロらを抑えて、防御率トップに付けているのは北山だ。驚異の１.１５。９回を投げ、ほぼ１点しか取られない計算になる。

　もうシーズン半ば。不確定要素も多少は含まれるが、防御率は勝ち負けよりも能力が反映されやすい。本人がどう評価しているのか、知りたくて聞いてみると「何も終わっていない。暫定なので。なんにも価値がない。シーズンが終わった時に全てが分かる。いい時もあれば、悪い時もある。決まったことではないので、何も思わないです」と真剣なまなざしで答えてくれた。

　勉強熱心でストイック。妥協することがない。そもそも、ぶれない信念がある。「確実に２、３年前と比べて良くなっているという意味では、選んできた方向性が正しかったという裏付けになっているかなと思います。今後の自信になる。ひと通り勉強して自分なりにやれることを全部やって導き出した答えなので。良くなるしかないというぐらいやってきている。そこは疑う余地はない。これからも続けてやっていくだけ。死ぬまで納得はしないと思う。野球に限らず、自分でできたと思ったらそれまでなので」

　現状に満足すれば、そこで成長は止まる―。記者は耳が痛かった。自らの浅はかさを悔いると同時に、北山の強さの根源をあらためて垣間見た。